与えられる枷 ページ32
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応接室のような、しかし窓もない閉鎖的な空間の中、白衣を着た男は媚を売るような笑みを作り、ソファに座る風宮に1枚の紙を渡した。静かにそれを受けとり内容を見る。
同意書。
本プロジェクトの趣旨・目的を理解した上で、 本プロジェクトが私に提供する外科的、内科的、あるいは精神的措置を含む、医学的に考えられるあらゆる施術を受け入れる事に同意します。
また、それらの施術を受け入れた結果として私の身体および精神に何か著しい異変が生じたとしても、 その責を学園に帰する事を目的とする抗議、訴訟等一切の行動を起こさない事にも合わせて同意いたします 。
途中まで読むと、親権者同意書の欄には手書きでサインされているのを見て瞼が反応するが、下にはまだ続きがあり目を通していく。
これらの同意書を確認した上で、私は初めて本プロジェクトに協力することを同意します。
他者に他言することを禁じる他、万が一私が逃亡した場合にはそれ相応の処罰を受ける事に同意いたします。
「……」
読み終わり、風宮は表情を変えぬまま持っている紙を握り潰そうとした。寸前、男に手首を掴まれ、同意書を盗られてしまう。
「ダメじゃないか。大事な書類なんだから」
言うなり、男は同意書をテーブルの上に置いて、白衣のポケットから朱肉を取り出して蓋を開ける。
何をするのか分かった。風宮は男の手を振りほどこうとしたが、成人した男の力に敵うはずなく、親指にインクをたっぷりと染み込ませ、同意書に無理矢理押し付けられる。
数秒して紙から指を離し、男は風宮の手首を離す。
拇印された紙を受け取るなり、満足に目を細める。
「確かに、君のサインはもらったよ」
「……無理矢理でしょ」
掴まれて赤くなっている手首を庇いながら睨みつけるが、男は素知らぬ顔で朱肉を片付け、同意書を折りたたんで白衣の中にしまいこんだ。
「君はただ傍にいるだけでいいんだよ。その才能で私達に希望をもたらしてくれればそれだけで……ね、超高校級の」
言いかけた言葉を遮るように バンッ！ とテーブルを叩くと、男は風宮を見て可笑しそうに小さく笑う。
「あぁ、君はその才能を嫌ってたんだっけ？」
口を閉ざしたまま、風宮は男を見つめる。
同意書のサインが弱みにされて強く出れないと分かっている男は、それを良いことに風宮の後ろに周り、ゆっくりとマフラーを解いていく。
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初火(プロフ) - ゆきさん» 今まで才能に振り回されていたのが無くなったことで、自分なら、自分の方がその男より大切にすることも愛すことも出来る、と考えて、あんな風になりました。 (2016年10月17日 19時) (
レス) id: 4a3cd1d519 (このIDを非表示/違反報告)
初火(プロフ) - ゆきさん» はい、狛枝からですね。狛枝にとって、絶対的な希望の才能を持っている彼女を悲しませる相手が許せなかったんです。絶望的な状況を希望に変えてしまうのが奇跡……と考えている彼は、彼女と一緒にいる間不運が来ないことで、欲が湧いたんですね。 (2016年10月17日 19時) (レス) id: 4a3cd1d519 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 狛枝とキスしたんですか？ (2016年10月17日 17時) (レス) id: ab6fb12fda (このIDを非表示/違反報告)
初火(プロフ) - M2さん» コメントありがとうございます！嬉しすぎて、更新張り切っちゃいそうです！ (2016年10月12日 17時) (レス) id: 4a3cd1d519 (このIDを非表示/違反報告)
M2 - とてもおもしろいです！いつも更新、楽しみにしてます！ (2016年10月12日 15時) (レス) id: 2e35ec2a38 (このIDを非表示/違反報告)
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