付き合ってるんでしょ？ ページ29
．
入院してから３日経つ。
記憶は完全に思い出すことは出来たが、日向にどう伝えれば良いのかずっと考えていた。
病室の外から コンコン とノックが聞こえ、引き戸が開かれる。
「こんにちは。今、いいかな？」
頷くと、七海千秋は中に入りパイプ椅子に腰をおろした。
自分達が贈った見舞品に手をつけられていると分かると、七海は笑みを滲ませていたが、次第に眉を下げ曇りだす。
「あのね、日向くんが心配してたよ」
「……知ってる」
「……自分のせいだって責めてた」
切なそうな訴えるような目で、七海はこちらを見つめる。
「退院したら、真っ先に会ってあげて……？きっと、風宮さんの元気な姿を見たら喜ぶ、と思うから」
すぐに うん とは言えなかった。
早くて１週間で退院出来ると言われても、約束の期限は後４日の18時までで、果たしてその時間までに日向と必ず会えるか分からない。
風宮は俯きかけた顔を上げて、七海に向けて静かな声を発した。
「……日向くんのせいじゃないって伝えてくれないかな」
「何言ってるの！」
ガタン とパイプ椅子から勢いよく立ち上がり、七海は風宮の両手を強く握った。
「ちゃんと自分の口で言わなきゃダメだよ。私が言ったって、日向くんは元気にならない」
「でも」
「最初から諦めてどうするの……？」
いつものおっとりとした顔が、どこか鋭く見える。
こんなに積極的な人だったっけと気圧されていると、七海は淡く笑みを浮かばせて、包み込んでいた手を離した。
「風宮さんなら大丈夫だよ」
不思議だった。
七海に言われると、本当にそう思えてしまいそうな気がして。前に お前と七海が似ていると日向に言われた事もあったが、本当にどこが似ているのか分からない。寧ろ正反対に等しい気がする。
「……どうしてそこまで言ってくれるの？」
必死に背中を押そうとする理由が分からずに聞けば、七海は え？ と目を丸くしたが、当たり前のように言い放った。
「だって付き合ってるんでしょ？」
思わず10秒ほど無言になってしまったが、風宮は右手で違うと横に振る。
「話し相手になってくれてるだけだよ」
「……え、そうなの？」
探りを入れるような目つきで見られても、頷くしかない。
どうなって、七海がそんな勘違いをしてしまっているのか。他愛ない会話をして、日向が好む本を貸しているだけなのに。
七海は考える仕草をして呟いた。
「可笑しいなぁ……充分フラグは立ってるはずだよ？」
「……どこまでもゲーム思考だね」
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初火(プロフ) - ゆきさん» 今まで才能に振り回されていたのが無くなったことで、自分なら、自分の方がその男より大切にすることも愛すことも出来る、と考えて、あんな風になりました。 (2016年10月17日 19時) (
レス) id: 4a3cd1d519 (このIDを非表示/違反報告)
初火(プロフ) - ゆきさん» はい、狛枝からですね。狛枝にとって、絶対的な希望の才能を持っている彼女を悲しませる相手が許せなかったんです。絶望的な状況を希望に変えてしまうのが奇跡……と考えている彼は、彼女と一緒にいる間不運が来ないことで、欲が湧いたんですね。 (2016年10月17日 19時) (レス) id: 4a3cd1d519 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 狛枝とキスしたんですか？ (2016年10月17日 17時) (レス) id: ab6fb12fda (このIDを非表示/違反報告)
初火(プロフ) - M2さん» コメントありがとうございます！嬉しすぎて、更新張り切っちゃいそうです！ (2016年10月12日 17時) (レス) id: 4a3cd1d519 (このIDを非表示/違反報告)
M2 - とてもおもしろいです！いつも更新、楽しみにしてます！ (2016年10月12日 15時) (レス) id: 2e35ec2a38 (このIDを非表示/違反報告)
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