幸運テディベア ページ28
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生けられた花束から始め、何冊かの本と、一枚のCDに、お菓子詰めの袋がテーブルの上に置いてある。
その下には大きな可愛いクマのぬいぐるみが座っており、首に赤いリボンが結ばれていた。それらの見舞い品を見て、こんなに貰うほど仲が良かった人なんていたっけと考えるが、頭が上手く回らない。
お菓子詰めは一目見ただけで流流歌達が来たのだと分かるけど、とCDを取って見ると風宮はそれが誰の物かすぐに分かった。
君に届けと言う題名の下に、丸字で澪田唯吹とサインが書いてあったからだ。そうなると考えが絞られる。入学してから本科生とまともに接したのは、流流歌、十六夜、神代、松田と、あの騒がしいクラスだけで、神代は今諜報員として仕事をしている。
となれば、この本も花束もぬいぐるみも、1-Bクラス達からの贈り物になるわけであるが………。
「……随分、可愛いものを贈る人がいるな」
ぬいぐるみを持ち上げると、何かが落ちた。
２つに折れている小さな紙だった。風宮はぬいぐるみをベッドの上に置いて、床に落ちた紙を拾い、中を開く。
女の子が好むような四つ葉のプリントしたそれは、短くこう書かれていた。
幸運を君に。狛枝凪斗。
「……くさい台詞」
本にサインしてほしいと言われて以来、狛枝とは一回も遭遇すること無く、初対面に近い存在だった。
何故クマのぬいぐるみなのか。何故そんなわざとらしいメッセージを書いたのか、風宮には狛枝凪斗という人間が何をしたいのか分からずしばらく考えていたが、諦めた。
紙をテーブルに置いて、クマのぬいぐるみを抱きしめる。肌触りがとても良くて、温かい。
「２週間……早くて１週間か……」
殺風景とした病室の中で何もしないでいるのも退屈だが、１週間に２回、話し相手になってくれていた日向に会えなくなると思うと、少し心残りな事がある。
真面目な所がある彼が、今回の不慮の事故をどう捉えてしまっているのか。今まで日向を見てきた風宮なら、すぐに思い付く事が出来た。
――俺なんかと関わったせいで、怪我をさせてしまった。
……彼は、そうやって自分に非が無いのにも関わらず、自分がしてしまったかのように抱え込んでしまう筈だ。
ぬいぐるみに抱きしめる力を風宮は強めた。
「……伝えなきゃ。貴方のせいじゃないんだから」
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初火(プロフ) - ゆきさん» 今まで才能に振り回されていたのが無くなったことで、自分なら、自分の方がその男より大切にすることも愛すことも出来る、と考えて、あんな風になりました。 (2016年10月17日 19時) (
レス) id: 4a3cd1d519 (このIDを非表示/違反報告)
初火(プロフ) - ゆきさん» はい、狛枝からですね。狛枝にとって、絶対的な希望の才能を持っている彼女を悲しませる相手が許せなかったんです。絶望的な状況を希望に変えてしまうのが奇跡……と考えている彼は、彼女と一緒にいる間不運が来ないことで、欲が湧いたんですね。 (2016年10月17日 19時) (レス) id: 4a3cd1d519 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 狛枝とキスしたんですか？ (2016年10月17日 17時) (レス) id: ab6fb12fda (このIDを非表示/違反報告)
初火(プロフ) - M2さん» コメントありがとうございます！嬉しすぎて、更新張り切っちゃいそうです！ (2016年10月12日 17時) (レス) id: 4a3cd1d519 (このIDを非表示/違反報告)
M2 - とてもおもしろいです！いつも更新、楽しみにしてます！ (2016年10月12日 15時) (レス) id: 2e35ec2a38 (このIDを非表示/違反報告)
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