夢の中のような2 ページ27
．
「……医者みたい」
「みたいじゃなく医者だブス」
漫画本でお腹を叩かれると フン と松田は鼻を鳴らす。
「……ま、この病院の腕とお前の力なら、１週間で退院出来るかもしれないけどな」
遠回しに その間勝手な行動はするなよ とも聞き取れる発言は、取りあえず頭の隅に置いといた。
後頭部に負った傷は針で縫われ、その上にガーゼで隠し、ネット包帯で保護している。白いベッドに寝かされ病衣を着せられている風宮の姿は痛々しい。
が、その突き飛ばした相手に対してどうも思ってはいなく、災難だったな位な程度で片付けてしまっていた。
記憶が抜けているせいで、置かれている状況が掴めないのもあるかもしれないが。
不規則に痛む頭痛を噛み締めながら、風宮はある矛盾に気付き、閉じかけた双眼をはっきりと開く。
ドロドロ と溶けかけていた意識を保だて、松田の方を真っ直ぐ見つめる。
「ねえ……学内の病院って、言ったよね……？」
「あ？ああ」
「……予備学科生は、中に入れない規則のはず」
予備学科に知り合いは日向しかいない。
その彼が負傷した自分を運んでくれたのも分かる。
ただ、才能がないと言われている予備学科が希望ヶ峰学園に侵入してしまえば、警備員に取り押さえられ追い帰されてしまうわけで……恐らく、その時いた警備員が自分を引き取り、日向を追い出したと考えるのが妥当なのだが、しっくりとこない。
「……じゃあ、あれはなんだったのかな」
毛布の外に出ていた右手をお腹の上に置きながら、風宮は適当に真っ白な天井に視界を映す。
あの時、手を握ってくれていたのが日向だと思っていたのに、本当は違う人だったと言うことになる。一体誰が……。
「夢でも見たんじゃないのか」
「……え？」
「あの世に招かれる夢を見たのかも」
松田は足を崩すと、意地悪な笑みを浮かべた。
「……それで死ねるなら良いけど」
一瞬、松田の瞳が揺らいだが、笑みを張り付けたまま本を持って席から立ち上がる。ベットの横にある移動式テーブルの方に指を差した。
「そのゴミ、見舞品だってよ。引きこもりブスなのに人気者だな」
「いちいち余計だよ」
「フッ。それくらい言い返せるなら大丈夫そうだな」
そう言って大きな欠伸をしながら、松田は病室を後にした。
相変わらずだなと心の中で言って、風宮は重たい体を慎重に起こす。
時間はすでに19時を過ぎていた。
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初火(プロフ) - ゆきさん» 今まで才能に振り回されていたのが無くなったことで、自分なら、自分の方がその男より大切にすることも愛すことも出来る、と考えて、あんな風になりました。 (2016年10月17日 19時) (
レス) id: 4a3cd1d519 (このIDを非表示/違反報告)
初火(プロフ) - ゆきさん» はい、狛枝からですね。狛枝にとって、絶対的な希望の才能を持っている彼女を悲しませる相手が許せなかったんです。絶望的な状況を希望に変えてしまうのが奇跡……と考えている彼は、彼女と一緒にいる間不運が来ないことで、欲が湧いたんですね。 (2016年10月17日 19時) (レス) id: 4a3cd1d519 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 狛枝とキスしたんですか？ (2016年10月17日 17時) (レス) id: ab6fb12fda (このIDを非表示/違反報告)
初火(プロフ) - M2さん» コメントありがとうございます！嬉しすぎて、更新張り切っちゃいそうです！ (2016年10月12日 17時) (レス) id: 4a3cd1d519 (このIDを非表示/違反報告)
M2 - とてもおもしろいです！いつも更新、楽しみにしてます！ (2016年10月12日 15時) (レス) id: 2e35ec2a38 (このIDを非表示/違反報告)
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