その手を掴んでいたら1 ページ24
．
「――偉人には三種類ある。生まれたときから偉大な人、努力して偉人になった人、偉大な人間になることを強いられた人」
椅子に背中を預け、天井を仰ぐ。
「……後７日。貴方が、後者を選ばないことを願いたいよ」
．
お昼になると、人とすれ違う数が多い。
それは予備学科の所も同じで、廊下を塞ぐように歩いてくる生徒が風宮……というより本科の制服を見ると、自然と道を開けてくれる。
少しの噂と興味深そうな視線を体に浴びながら、日向がいるだろう1-Aの所に向かう先に、人だかりが出来ているのに気付く。
急いで駆け寄って見るが、周りよりも低身長のせいで教室の様子を伺えなく苦戦していると、鼻につく女の声が上がった。
「もしかして！ここの才能無い連中をバカにしに来たのかなぁ？」
「お、おい、止めろ！！」
「ぷっ、あははははは！冗談だよ！」
どうやら日向も関わっているらしい。
ざわめく生徒達を掻き分けながら、風宮は教室の中に進む。金髪の女と、ウェーブがかかった女。その横には、お弁当を抱えた小泉がいる。
三人に囲まれるように席から立ち上がっていた日向が、こちらに気付くよりも先に、声をかけた。
「……ただ友達と一緒にご飯食べるだけで、随分絡んでくるね」
一斉に風宮の方を見る。
なんでこんな所にいるんだ、と日向が目で訴えくるのを瞬き一つで返してみるが、冷や汗を浮かんで顔色を悪くするばかりだった。
「莉愛ちゃん、どうしてこんな所に……？」
「ちょっとね」
「真昼の知り合い？」
「……う、うん」
小泉が控えめに頷いた直後、金髪の女がこちらに近付いてくる。ギラついた眼光と殺気は一般人の者じゃないと判断すれば、高圧的な態度で彼女は口を開く。
「無関係な奴が出しゃばんじゃないよ、本科生様？とっとと引っ込んでろ！」
「……無関係ではないよ」
「はあ？」
「彼とは知り合いなの。巻き込まれたら助けるのが筋でしょ？」
日向の方を一瞥してから、今にも襲いかかりそうな金髪の女を目の前に、風宮は目を細めた。
「……脅せば何でも済むとでも思ってるの。才能を手に入れたからって幸せになるとは限らないのに」
「ハッ。そう言いながら無能な奴とつき合って、内心バカにして見下してんだろ！可哀想ねってさあ！」
このままだと埒があかないと思い、ため息を溢す。
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初火(プロフ) - ゆきさん» 今まで才能に振り回されていたのが無くなったことで、自分なら、自分の方がその男より大切にすることも愛すことも出来る、と考えて、あんな風になりました。 (2016年10月17日 19時) (
レス) id: 4a3cd1d519 (このIDを非表示/違反報告)
初火(プロフ) - ゆきさん» はい、狛枝からですね。狛枝にとって、絶対的な希望の才能を持っている彼女を悲しませる相手が許せなかったんです。絶望的な状況を希望に変えてしまうのが奇跡……と考えている彼は、彼女と一緒にいる間不運が来ないことで、欲が湧いたんですね。 (2016年10月17日 19時) (レス) id: 4a3cd1d519 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 狛枝とキスしたんですか？ (2016年10月17日 17時) (レス) id: ab6fb12fda (このIDを非表示/違反報告)
初火(プロフ) - M2さん» コメントありがとうございます！嬉しすぎて、更新張り切っちゃいそうです！ (2016年10月12日 17時) (レス) id: 4a3cd1d519 (このIDを非表示/違反報告)
M2 - とてもおもしろいです！いつも更新、楽しみにしてます！ (2016年10月12日 15時) (レス) id: 2e35ec2a38 (このIDを非表示/違反報告)
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