それは違うぞ！ ページ21
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「そう、そこの辺りに手を当てて口を動かすんだ。……鏡をよく見て口角を………って、それじゃあ悪徳者みたいだぞ？」
悪徳者ってどんな顔なのか。
自前の手鏡を日向が持ってくれている中、風宮は自分と向き合うように笑顔を作る練習をしていた。
表情があったって無くたって、生きていくのに何の支障も無いのにと思っていても、彼から予定作って誘ってくれたのは何気に今回が初めてだったりして断りにくかった。
「うーん、表情筋が硬すぎるんだな」
「……なんだか張り切ってるね」
いつもより積極的に接してくるものだからペースは掴めないが、しがらみに囚われないこの瞬間だけは、彼を前向きにさせてくれているのかもしれない。
日向は え？ と決まりの悪い顔をしながら、鏡を膝の上に伏せた。
「……風宮に励まされて、自分に少しだけ自信を持てるようになったから、かな」
「それとこれって何の関係も無いような……」
「それは違うぞ！」
あまりにもの気迫に、ぼんやりとしていた意識が叩き起こされる感覚に落ちる。
「無愛想でいるよりお互い笑った方が元気を貰えるし、俺以外の人とも交流した方が、風宮にとっても都合が良いだろ？」
そう言われて暫し考えるが、自分には程遠く無縁な話で、つい重苦しいため息を一つ溢してしまった。
「あのね、引きこもり、薄気味悪い、ニート、コミュ障、チビ、ロリ、ブスって言われてるのに手遅れだよ？」
「はあ！？一体どんな学園生活を送ってんだよ！？」
噂と一部からの愛あるだろう暴言を口にすれば、仰け反りながら、日向はこれ以上に無いくらい憐れみと心配な眼差しをこちらに注いでくる。
風宮は何のそのと、小首を傾げた。
「……別に大した事じゃないと思うけど」
「……メンタル強すぎるだろ。お前の心は鋼か、ダイヤモンドか」
血も涙もないと誰かに言われたこともあったが、日向と同じ人間に変わりはない。怪我をすれば赤い血が出るし、どんな理由でせよ欠伸すれば涙だって出てくる。
それに……と、風宮は無意識にそれを口にしていた。
「……私は本科の人より、日向くんと一緒にいた方がいいな」
「えっ」
日向の目が丸くなる。ゆっくりと頬が赤く染まっていく。
「あれ、変なこと言った？」
返事がこない。
片腕で顔を隠し、目の前に手鏡を突き出されてしまう。
「……大丈夫？」
「……練習の続きをするぞ」
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初火(プロフ) - ゆきさん» 今まで才能に振り回されていたのが無くなったことで、自分なら、自分の方がその男より大切にすることも愛すことも出来る、と考えて、あんな風になりました。 (2016年10月17日 19時) (
レス) id: 4a3cd1d519 (このIDを非表示/違反報告)
初火(プロフ) - ゆきさん» はい、狛枝からですね。狛枝にとって、絶対的な希望の才能を持っている彼女を悲しませる相手が許せなかったんです。絶望的な状況を希望に変えてしまうのが奇跡……と考えている彼は、彼女と一緒にいる間不運が来ないことで、欲が湧いたんですね。 (2016年10月17日 19時) (レス) id: 4a3cd1d519 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 狛枝とキスしたんですか？ (2016年10月17日 17時) (レス) id: ab6fb12fda (このIDを非表示/違反報告)
初火(プロフ) - M2さん» コメントありがとうございます！嬉しすぎて、更新張り切っちゃいそうです！ (2016年10月12日 17時) (レス) id: 4a3cd1d519 (このIDを非表示/違反報告)
M2 - とてもおもしろいです！いつも更新、楽しみにしてます！ (2016年10月12日 15時) (レス) id: 2e35ec2a38 (このIDを非表示/違反報告)
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