憂鬱 ページ3
．
「おや？莉愛ちゃんじゃない」
外に出ようとしてばったりと遭遇してしまった、面倒くさい人。黄桜公一だ。
本科の教員でありながらその責務をほぼ放置し、元超高校級のスカウトマンとして大体は色んな学校に周っては、毎年才能ある子供をこの希望ヶ峰学園に引き入れているらしいのだが、今から仕事のようだ。
「……こんにちは、酔いどれ先生。今日も自分の生徒を指導しないんですね」
「あ、会うなりキツい事言うなよ。……本当の事だからなにも言えねぇし」
苦笑いしながら、白い帽子の鍔を下げる仕草する。
風宮は鼻をひくつかせると、黄桜の方から酒の臭いがしないことに珍しいと小首を傾げた。
「今日はまだ飲んでないんですね」
「そりゃあ俺だって、仕事とプライベートは区別してるからね。莉愛ちゃんはなんでこんな所に？」
「……ちょっと外の空気を吸おうと思って」
そう言うと黄桜は顎に手を添え、口角をつり上げた。
「あらかた、一日中本ばかり読んでたから外の空気吸えって言われて、仕方なくここまで来たんだろ？」
彼は才能もあって人を見るのが得意だ。
例え１日怠けて飲んだくれになっていたとしても、その目はカメラレンズのように研ぎ澄まされ、ちょっとした言動でも察してしまう。
本人曰く後は自分の勘を頼りにしているらしいが、それにしたって気持ち悪いほど正確に当ててくるから、寒気すらしてくる。
「どうやら図星みたいだ。どうせ行くなら噴水の所がオススメだよ。ベンチがあるから読書も出来るし、何よりあそこ、密かに男女受けが良いんだぜ？」
「……。生憎好きな人がいないんで」
「良かったら俺が紹介してやろっか？」
さっきの仕返しか。
興味無さそうに風宮がジト目で返せば「おー怖い怖い」と、一歩退き、黄桜は大袈裟なリアクションをとる。
「……仮にも教師でしょ？注意する所か場所を教えてどうするんですか」
「あー……」
言われて黄桜は、頬を掻きながら風宮から視線を逸らす。
「俺、先生なんて柄じゃないし、超高校級のお前達なら俺がいなくても大丈夫かなー……って」
「……それ聞いたら学園長泣きますよ」
「ああ、さっきも頭抱えてたよ」
どうしてこの人、教師なんかしてるのだろうか。
入学式の時しか見たことが無いものの、黄桜の言葉通り頭を抱え、悩ましくため息を吐く学園長を想像してしまって、なにも返す言葉が見つからなかった。
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初火(プロフ) - ゆきさん» 今まで才能に振り回されていたのが無くなったことで、自分なら、自分の方がその男より大切にすることも愛すことも出来る、と考えて、あんな風になりました。 (2016年10月17日 19時) (
レス) id: 4a3cd1d519 (このIDを非表示/違反報告)
初火(プロフ) - ゆきさん» はい、狛枝からですね。狛枝にとって、絶対的な希望の才能を持っている彼女を悲しませる相手が許せなかったんです。絶望的な状況を希望に変えてしまうのが奇跡……と考えている彼は、彼女と一緒にいる間不運が来ないことで、欲が湧いたんですね。 (2016年10月17日 19時) (レス) id: 4a3cd1d519 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 狛枝とキスしたんですか？ (2016年10月17日 17時) (レス) id: ab6fb12fda (このIDを非表示/違反報告)
初火(プロフ) - M2さん» コメントありがとうございます！嬉しすぎて、更新張り切っちゃいそうです！ (2016年10月12日 17時) (レス) id: 4a3cd1d519 (このIDを非表示/違反報告)
M2 - とてもおもしろいです！いつも更新、楽しみにしてます！ (2016年10月12日 15時) (レス) id: 2e35ec2a38 (このIDを非表示/違反報告)
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