君に笑顔の作り方を1 ページ17
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最近、楽しみにしていることがある。
と言っても、最初は一方的に相手が話し相手になってほしいと頼まれて、場の流れで頷いてしまったのが始まりだったけれど。
会うのは週に２回。予め予定を作っては何気ない会話をして解散するのだが、その度彼女は自分に本を貸してくれる。
彼女の才能、超高校級の読書家は、ただ本を読むだけの才能ではなく、その読み手の人格をもとに選別した本を愛読にさせてしまう、一種の暗示みたいなものを会得しているらしく、こう言ってはあれだが、本に興味が無かった自分もすっかり虜になっていた。
……正直言えば、本を読むだけで希望ヶ峰学園に入れたなら、小さい時ヒーローアニメ何か見てないで本の虫にでもなれば良かったと、前に引きずった事もあったが、悔やんでも無意味なのは頭で理解していた。
図書室に行けばただの置物にしか見えなかった日向の視点を変えてくれたのも、人の好みを見分けられるのも、紛れもなく彼女にそれだけの能力が備わっているからで、どんなに自分が難しくて厚い本を読んだ所で、スカウトされないくらい目に見えていた。
少しの嫉妬と、劣等感は今でも拭えない。
けれど、数日前に会った七海千秋は言ってくれた。
『別に才能があっても無くても変わらないよ。だってそこがゴールじゃないもん』
『けど……』
『君の方が自由じゃん。私にはゲームしかないけど、君は何処にでも行けて何にでもなれるんだからさ』
脳裏に何度も響く七海の声が、自分の背中を押してくれているような気がして、日向は待ち合わせ場所の噴水前で胸の内に残る黒い靄を晴らすのに、肺にいっぱい空気を詰め込んで………吐き出した。
「あぁあああ！！」
「……こんな所で叫んだら、変な人だと指を差されるよ」
囁くような声がどこからかして、日向はそちらに振り向く。
本を片手に、無表情で見上げている風宮を捉え、一気に体に熱を覚える。
「うおっ！い、いつの間にいたんだよ！？」
「……最初から。何か思い悩んでたから、声を掛けるのもあれだと思って黙ってたんだけど……本の角で頭を叩けば良かった？」
「……い、いや、しなくて良かった」
あれは地味に痛いし、打ち所が悪ければたんこぶが出来てしまう。
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初火(プロフ) - ゆきさん» 今まで才能に振り回されていたのが無くなったことで、自分なら、自分の方がその男より大切にすることも愛すことも出来る、と考えて、あんな風になりました。 (2016年10月17日 19時) (
レス) id: 4a3cd1d519 (このIDを非表示/違反報告)
初火(プロフ) - ゆきさん» はい、狛枝からですね。狛枝にとって、絶対的な希望の才能を持っている彼女を悲しませる相手が許せなかったんです。絶望的な状況を希望に変えてしまうのが奇跡……と考えている彼は、彼女と一緒にいる間不運が来ないことで、欲が湧いたんですね。 (2016年10月17日 19時) (レス) id: 4a3cd1d519 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 狛枝とキスしたんですか？ (2016年10月17日 17時) (レス) id: ab6fb12fda (このIDを非表示/違反報告)
初火(プロフ) - M2さん» コメントありがとうございます！嬉しすぎて、更新張り切っちゃいそうです！ (2016年10月12日 17時) (レス) id: 4a3cd1d519 (このIDを非表示/違反報告)
M2 - とてもおもしろいです！いつも更新、楽しみにしてます！ (2016年10月12日 15時) (レス) id: 2e35ec2a38 (このIDを非表示/違反報告)
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