本に興味ない貴女へ1 ページ13
．
いつの間にかソニアも近くにいて キラキラ した目で言う。
おまけに両手を握られて、肩にも手が置かれてしまったままで、逃げようにも逃げられない状態だ。
二人の声が始めとして、他の生徒達も様々な了解を口にするのを聞き、ゆっくりと雪染の顔を見上げた。
「行こっか♡」
その満面の笑顔に、抵抗しても無意味だと自分の頭に刷り込まれてしまった。
探すのは音楽室にいる澪田唯吹という人らしい。
雪染を先頭に長い廊下を大人数で歩く中、指を一つ一つ折りながら呟く。
「ソニア･ネウﾞァーマインド、小泉真昼、西園寺日寄子、終里赤音、罪木蜜柑、左右田和一、九頭龍冬彦、花村輝々、弐大猫丸、封印されし田中………」
「わ、わぁ、皆さんのお名前覚えるの早いですねぇ……！」
一人言を聞いていたようだ。
寄り添うように歩く罪木蜜柑を横目で見ると、大袈裟に肩をビクつかせた。
「は、はわ、ごめんなさぁい！」
睨まれたのと勘違いしてしまったのだろうか。
泣きそうな顔で何度も謝ってくるものだから、今声を掛けても人の話を聞きそうにないと判断して無言を貫く。
反対側から、苦笑いする声がした。
「莉愛ちゃん、なにもしてないと思うんだけど」
小泉真昼だ。
個性的である彼等と比べ影が薄く見えてしまうが、あのクラスの中では一番の常識人であるのは一目で分かる。
「さっきはごめんね？」
「なにが？」
「ほら、初対面で日寄子ちゃんがキツい事言っちゃったから」
まるで自分の事のように話す小泉に、風宮は左右田にちょっかい出している当の本人を観察しながら口にした。
「……どうして貴女が謝るのか解らない」
「え？そ、そりゃあ友達だからだよ」
「……ふぅん」
友達だから、自分が悪くもないのに代わりに謝らなければならないのか。そんな関係はくだらないと思って曖昧に答えたせいか「ドライだね」と返された。
だからどうしたという話で、冷たいと思うなら構う必要なんてないし、無理して仲良くなる必要なんかないはずだ。
空気が重くなるのを感じたのか、九頭龍と左右田と罪木がこちらに時折視線を向けてくるが、直接何か言っては来ない。
一人を除いて。
「さっきからなにジロジロ見てるわけ？言いたいことあるならちゃんと口で言えよ、この陰湿コミュ障が！」
振り返るなり、その可愛らしい容姿と声とは真逆に乱暴な言葉を吐き捨てる西園寺に、足を止めた。雪染は勿論、他の生徒達も歩き止まって風宮を見た。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 80人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ダンガンロンパ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
初火(プロフ) - ゆきさん» 今まで才能に振り回されていたのが無くなったことで、自分なら、自分の方がその男より大切にすることも愛すことも出来る、と考えて、あんな風になりました。 (2016年10月17日 19時) (
レス) id: 4a3cd1d519 (このIDを非表示/違反報告)
初火(プロフ) - ゆきさん» はい、狛枝からですね。狛枝にとって、絶対的な希望の才能を持っている彼女を悲しませる相手が許せなかったんです。絶望的な状況を希望に変えてしまうのが奇跡……と考えている彼は、彼女と一緒にいる間不運が来ないことで、欲が湧いたんですね。 (2016年10月17日 19時) (レス) id: 4a3cd1d519 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 狛枝とキスしたんですか？ (2016年10月17日 17時) (レス) id: ab6fb12fda (このIDを非表示/違反報告)
初火(プロフ) - M2さん» コメントありがとうございます！嬉しすぎて、更新張り切っちゃいそうです！ (2016年10月12日 17時) (レス) id: 4a3cd1d519 (このIDを非表示/違反報告)
M2 - とてもおもしろいです！いつも更新、楽しみにしてます！ (2016年10月12日 15時) (レス) id: 2e35ec2a38 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
