挨拶はシンプルに ページ12
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やっと解放してくれたのは、1-Bクラスの出入口の前だった。
中から色んな声が聞こえてくる。横から「大丈夫、私もついてるから！」と気遣って背中を押そうとする雪染の手から避け、走って逃げようとした。
が、そうはさせまいと巻いていたマフラーを掴まれ ズルズル と引き戻されてしまう。
「風宮さーん、往生際悪いわよ？」
「……担任じゃないのに、なんで私だけこんな扱い」
友達を作りたくないわけでもない。
人と話すのも嫌いでもないし、誰かと一緒に何かをするのも面倒くさい訳でもない。それでも、自分が引いた境界線から勝手に入って欲しくはなかった。
影を差しながら呟く風宮の様子に気づく事無く、雪染は引き戸を開けて、中に入れさせた。
「みんなー！ちょっと紹介したい子がいるのー！」
視線が一ヵ所に集まる。
担任、ではなく自分の方に。訝しげに、驚いたように、嫌そうに、それぞれと表情を浮かべて。
「その子って」
「あ〜！わたし知ってるよ〜。いっつも古臭い本ばっか読んでて、ボッチで気味悪いヒキニート女だよぉ！」
「い、言い過ぎだよ……！」
着物を着た小さな女の子がこちらに指を差しながら毒を吐くのを、赤い髪の女が風宮の顔を伺いながら、止めようとする。
前から噂されているのは分かっていた。言い方はあれかもしれないけど、似たり寄ったり通りだからどうもしない。
不意に肩に手を置かれて、風宮は顔を向ける。
「ほら、自己紹介」
「………」
微笑みかける雪染を何秒か見て、前を向いた。
「1-Aの風宮莉愛。超高校級の読書家」
「それだけかよ？」
「……よろしく」
「な、なんか、随分マイペースだな」
良くやったとばかりに雪染が頷くと、風宮を自分の前に立たせ、両肩に手を添える。
「じゃ、次は風宮さんに皆を紹介するわね！」
一人一人雪染が名前と才能を教えていくのを、ずっと黙ったまま聞いていた。時々こそこそと話し声が聞こえていたが、気にせず説明に耳を傾ける。
「まだ全員揃ってないんだけど、良かったら同行しない？
」
「……え」
顔を覗かれる。
断ろうと声を出すよりも早く、横から花村が現れた。
「可愛い女の子が増えるなんて、僕は大歓迎だよ！新しいタイプの子を攻略するのも手かもしれないしね！」
「楽しいですよ、クラスメイトをGETだぜ！をするのは！」
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初火(プロフ) - ゆきさん» 今まで才能に振り回されていたのが無くなったことで、自分なら、自分の方がその男より大切にすることも愛すことも出来る、と考えて、あんな風になりました。 (2016年10月17日 19時) (
レス) id: 4a3cd1d519 (このIDを非表示/違反報告)
初火(プロフ) - ゆきさん» はい、狛枝からですね。狛枝にとって、絶対的な希望の才能を持っている彼女を悲しませる相手が許せなかったんです。絶望的な状況を希望に変えてしまうのが奇跡……と考えている彼は、彼女と一緒にいる間不運が来ないことで、欲が湧いたんですね。 (2016年10月17日 19時) (レス) id: 4a3cd1d519 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 狛枝とキスしたんですか？ (2016年10月17日 17時) (レス) id: ab6fb12fda (このIDを非表示/違反報告)
初火(プロフ) - M2さん» コメントありがとうございます！嬉しすぎて、更新張り切っちゃいそうです！ (2016年10月12日 17時) (レス) id: 4a3cd1d519 (このIDを非表示/違反報告)
M2 - とてもおもしろいです！いつも更新、楽しみにしてます！ (2016年10月12日 15時) (レス) id: 2e35ec2a38 (このIDを非表示/違反報告)
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