ラズベリーマカロン1 ページ1
．
学園が揺れている。地震だろうか。
いや、よく耳を澄ますと何かを壊したような爆発音だ。
生徒の誰かが暴れているのだろう、そう思えばいつもの事だと片付けられる。頭の中で考えを済ませ目の前にある厚い本に映しつづけていると、横から手が伸び、持っていた本をくすねられてしまった。
「ま〜たこんなカビ臭い所に籠ってたの？」
聞き覚えある女の声。
ふわり と甘い香りがほのかに漂う。
振り返るとそこにいたのは、一年上の安藤流流歌と十六夜惣之助だった。彼女達、というより流流歌にはよくお菓子を貰っていてお世話になっているが、わざわざ図書室まで足を運びに来るなんて珍しかった。
「……安藤さん達はなぜここに？」
「もうっ、安藤さんじゃなくて流流歌って呼んでよ。流流歌とりっちゃんの仲でしょ？」
手にしていた本を近くに投げ捨て、頬を膨らませながら顔を近づける。りっちゃん、それが風宮莉愛に対して呼ぶ愛称。
後ろで心なしかむくれている十六夜を目にするが、視界が鮮やかなピンクに塞がれた。これは……
「……マカロン？」
「ラズベリー味だよ！はい、あーん♡」
マカロンを唇に近づけてくる。
ピンクのピエに挟まれたクリームと、周りにラズベリーが彩られたそれはとても美味しそう。
人から食べさせてもらうことがない為、戸惑いながら口を開くと、優しく口内に入れられた。
ゆっくりと咀嚼する。
外側が サクッ として中はしっとりとした舌触り。甘酸っぱいラズベリーと、甘さ控えめのクリームが口の中で絡まりあう。
……流石超高校級のお菓子職人。
超高校級の鍛冶屋も食べたそうな顔をしている。
「どう？」
マカロンを飲み込む。
風宮は頷いた。
「……美味しい。ピエの色も良いし、ラズベリーをそのまま使ったから食感もいいし……」
「 良かったぁ！実はこれ試作品でさ、よいちゃんに食べて貰っても美味しいしか言ってくれなかったから、具体的な感想欲しかったんだよね！」
やっぱり作る側は食べてもらうことに至福のようで、流流歌は嬉しそうに次から次えとマカロンを風宮の手の上に乗せてきた。
対照的に十六夜は「……だって流流歌のお菓子はおいちいもん」と相変わらず外見に似合わない赤ちゃん発言に引いてしまうが、はて、と風宮は頭に浮かぶ。
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初火(プロフ) - ゆきさん» 今まで才能に振り回されていたのが無くなったことで、自分なら、自分の方がその男より大切にすることも愛すことも出来る、と考えて、あんな風になりました。 (2016年10月17日 19時) (
レス) id: 4a3cd1d519 (このIDを非表示/違反報告)
初火(プロフ) - ゆきさん» はい、狛枝からですね。狛枝にとって、絶対的な希望の才能を持っている彼女を悲しませる相手が許せなかったんです。絶望的な状況を希望に変えてしまうのが奇跡……と考えている彼は、彼女と一緒にいる間不運が来ないことで、欲が湧いたんですね。 (2016年10月17日 19時) (レス) id: 4a3cd1d519 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 狛枝とキスしたんですか？ (2016年10月17日 17時) (レス) id: ab6fb12fda (このIDを非表示/違反報告)
初火(プロフ) - M2さん» コメントありがとうございます！嬉しすぎて、更新張り切っちゃいそうです！ (2016年10月12日 17時) (レス) id: 4a3cd1d519 (このIDを非表示/違反報告)
M2 - とてもおもしろいです！いつも更新、楽しみにしてます！ (2016年10月12日 15時) (レス) id: 2e35ec2a38 (このIDを非表示/違反報告)
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