S side ページ20
「…………しょ………………」
掠れた、小さな声で。
「智っ………！智ぃっ……！」
痛いかも知れないけれど、ぎゅうって抱きしめた。
少し冷たいその体は、生まれたての仔犬のように小刻みに震えている。
「ごめんねっ……智…ごめんねっ………俺が…俺が頼りないばっかりに………」
「しょ…………みんなも……けが、、、なかっ…た………？」
ねぇ、智…何で俺たちの心配するの……？
自分がこんな体になってるのに…。
「みんな…みんな大丈夫だよっ…！智のお陰だよっ…！」
俺がそう言うと、柔らかい笑顔を見せてくれた。
「…そっ、、かぁ…………よか…ったぁ…………」
そんな智に何もかける言葉が見つからなくて、ただ智の右手を握りしめた。
すると急に智が口を開いた。
「おれ……まだ、、こたえて…なか…ったよね…………」
「えっ……」
『生まれ変わったら何になりたい？』
もしかして、このことを言ってるの…？
「お、、れ…ね……うまれ…かわっ……ても、、、また、しょ……とふたごに………なり、、たい…！」
「……っ」
「しょ………と、わらって………ない…て…………いっ、、しょに……いたいの…………ねぇ、、いいかなぁ………………？」
涙が止まらなくて…。
何も言えなくて。
何度も何度も頷いた。
「な……で、、なくの………？なか、、ないで…………」
細い腕が延びてきて、俺の頬を流れる涙を親指で拭った。
そしてその手を頬に添える。
「ねぇ………しょ……」
「んっ……？」
伏せていた目をもう一度智の目と合わせる。
「……だい、、、すき………」
はっ、とあの日の風景が浮かんだ。
どこへ行くでもないのに、ぎゅっと手を繋いでベッドに座っている幼い2人。
あの日、恥ずかしがりながらも智はいきなりそんなことを言ったんだ。
そして、全く同じ言葉を、今ここで智が。
だから俺も。
「うん、僕もっ…………」
あの日と全く同じ言葉を。
力なく、それでいて優しく微笑んでくれた。
その純粋さは、あの日と何も変わらなくて。
そんな智の目から、一筋の涙が零れた。
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ほっぺ大福(プロフ) - 優子さん» ありがとうございます！ (2016年1月11日 20時) (
レス) id: 3fb09271d5 (このIDを非表示/違反報告)
ほっぺ大福(プロフ) - 美唯さん» 最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました！ (2016年1月11日 20時) (レス) id: 3fb09271d5 (このIDを非表示/違反報告)
優子 - 一から全部読みました。良かったです。 (2016年1月11日 19時) (レス) id: 059e629431 (このIDを非表示/違反報告)
美唯 - 楽しく読ませていただきました(笑) (2016年1月9日 23時) (レス) id: 14862b15c0 (このIDを非表示/違反報告)
ほっぺ大福(プロフ) - まみさん» こんな駄作にそんなお言葉を…！(T-T)嬉しいです。。こちらこそ、最後まで読んで下さって本当にありがとうございました！ (2016年1月9日 18時) (レス) id: 3fb09271d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ほっぺ大福 | 作成日時：2016年1月4日 0時
