言えない。【オリジナル】【短編小説】 (ページ1)

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先輩と後輩ページ1

春＿＿＿＿

はじめましては部活の新入生勧誘。

色んな子が来るけど、君はキラキラ輝いていた。

ただ吹いているだけじゃない‥‥はしゃいで、笑っている音。

最初はビックリしたんだよ。

今まで女子だけの部活。吹奏楽部。

そこに男子が来たんだもん。

＿＿＿しかも、同じパートに。

「サックスってカッコいいしモテそうだから」

なんて陳腐な理由じゃない。

「なんとなく、吹いてて気持ちがいいから」

むしろ、その方が心地よかった。

初めて抱いた印象は、

笑顔がかわいくて、素直な子。

だけど本音は中々言い出せず、悩み事も多そうな感じ。

それは音も一緒。

真っ直ぐで、素直な音。

でも、どこか不安定さを持ち合わせていて‥‥

「よろしくね、後輩君」

「なんかあったら、いつでも先輩頼って大丈夫だよ」

あんまり親しくない間柄。

それを言うのが精一杯だった。