【Episode: 5＿奇しさを溶かす】 ページ30
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僕の想い、誰か届けてよ
【Ymmt Side】
―――バレンタインなんて大層な名前が付けられた2月14日が、僕は嫌いだ。
普段それほど好き嫌いをするタイプでは無いけれど、あの行事だけはどうしても好きになれない。
街中を行き交う人々の殆どは浮わついているし、街のどこやかしこはハートやチョコで埋まっているし、結ばれた恋人たちはまるで僕を嘲笑うかのように幸せオーラを醸し出して、僕だけが、あの甘ったるい世界で一人取り残されるから。
そう言った意味ではホワイトデーやクリスマスも同様に嫌いなのだが、あの二つにはバレンタインほどの嫌悪感はない。定番と言われているほろ苦いカカオの味を毎年舌に覚えさせることが無いだけ、まだマシだ。
そして今年もまた、虚しくもあれだけ初詣の時に願った「バレンタインを無くしてほしい」という思いは届かず、僕の嫌いなバレンタインの日は嫌みったらしい顔をしてやって来た。勿論嫌みったらしいというのは勝手な想像であり比喩だが。
「じゃーん、祥彰見ろよ。今年もいっぱい貰っちゃった」
「うわぁ、流石だね兄さん。僕は今年もゼロだよ〜」
「あははっ、祥彰もまだまだだな〜」
今年のバレンタインも相変わらず僕の兄―――山本Aは、大量のチョコが詰め込まれているであろう紙袋を両手に、爽やかな笑顔を浮かべてうちに帰ってきた。
学生時代からずっと女性にモテている兄は社会人となった今もモテモテで、しょっちゅうラブレターだの食事のお誘いだのプレゼントだのを貰ったり受けたりして帰ってくる。
今日という日には特に、それは顕著に現れる。
兄さんはチョコの入った紙袋を机に置くと、グシャグシャと雑に僕の頭を撫でて、「着替えてくる」と自室に消えていった。
頭に残るのは、まだまだ僕を子供扱いしているのだと分かる、雑だけど、どこか優しい手つき。
僕だってもう立派な成人男性だと言うのに、兄さんの中で僕はずっと、幼い頃の弟のままだった。
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白菜(プロフ) - 名無しさん» まであります。好きってだけではどうしようもないもどかしさや、好きだからこそ想いに蓋をする切なさのようなものを描けていたら良いなと思います。名無しさんを喜ばせることが出来て本当に良かったです！長文大好き人間なので、どうか気にせず是非また送ってください！ (2020年11月12日 22時) (
レス) id: 367472b3a3 (このIDを非表示/違反報告)
白菜(プロフ) - 名無しさん» コメントありがとうございます！図々しいと思い、結局説明文には書かなかったのですが、今回のお話は私の中での理解を深める意味と、もっと多くの人の恋愛の価値観を広げたいと思って執筆しました。誰かにこうして届けることが出来ただけで、私としては全てやりきった感 (2020年11月12日 22時) (レス) id: 367472b3a3 (このIDを非表示/違反報告)
白菜(プロフ) - りんごあめさん» お褒め頂きありがとうございます！デリケートなジャンルの更にデリケートな部分を攻めたお話なので私自身もビクビクしながら上げる決意をしましたが、そう言っていただけて良かったです！ゆっくりにはなりますが更新頑張ります！ (2020年11月12日 22時) (レス) id: 367472b3a3 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 長々と乱文を失礼致しました。もしここまで読んでくださったのなら、本当にありがとうございます。あなたの文章が、世界が、大好きです。白菜さんの今と未来に、幸せがあり続けますように。 (2020年11月11日 20時) (レス) id: 4c7b111d07 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - それから、お分かりだとは思うのですが、これはあくまで1ファンの、マイノリティとして生を受けた者の1人の感想であり、当然LGBTs全員の総意ではありません。ただ私が嬉しかったってだけの話なんです。 (2020年11月11日 20時) (レス) id: 4c7b111d07 (このIDを非表示/違反報告)
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