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 別に彼女に好きな人が居ようが居まいが俺には関係ない。先輩として応援するだけのことだし、もし結ばれたとしたら心から祝福するだけだ。ただ、それだけの、筈。



「あの時は、自分がレズであることにも、好きな人が居ることにも悩んでて。でも、福良さんの言葉で、このままで良いんだって思えて」



 嬉しそうに語る声がどこか遠くから聞こえてきているように感じて、そうなんだと相槌を打つだけで精一杯だった。声だって掠れていたと思う。
 そんな俺にトドメを刺したのは、彼女の明るい声だった。



「だから私、フラれても良いから、今度告白するんです。山森さんに」



 告白するという言葉にも、山森さんという聞き馴染んだ単語にも、どう反応したら良いのか分からなかった。そして、気付いたんだ。

 ―――そうか。俺、Aさんのことが。



 食べていたサンドイッチの味が分からなくなって、今までどうやって笑っていたのか分からなくなって、目の前の彼女と目も合わせられないまま、昼食の時間を終える。
 今日は天気予報が珍しく外れたようで、会計を済ませて店を出ると外では雨が降っていた。どうやら隣の彼女は傘を忘れたらしく、いつもより可愛らしく着飾った自分の服に視線を落としては、不安げな表情をする。

 ……どうせなら、鈍感で居たかった。こんな時でさえ、察してしまったんだ。―――彼女が一世一代の告白する日は、今度ではなく、今日なのだと。



「Aさん、これ使って」



 用意周到な自分を少し恨みながら、鞄に入れていた折り畳み傘を手渡す。彼女は俺が濡れる心配をしているようだが、確か今日の山森さんは正午過ぎには帰宅する筈だ。ならばこんなところで立ち止まっている場合ではないだろう。



「ほら、早く行きなよ」



 その言葉で俺の言わんとしていることが伝わったのか、彼女は瞳に決意を滲ませ、雨の中を駆け出していく。
 ……そう。そのまま、早く立ち去って。どうせ俺に、君の手を繋ぎ止めることは出来ないんだから。









きっと、この想いを伝えたところで
君を悲しませることしか、出来ないんだから










【Episode:3_貴方がしくなる前に】

【Episode: 4_拝啓、阨する人よ】→←▼



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白菜(プロフ) - 名無しさん» まであります。好きってだけではどうしようもないもどかしさや、好きだからこそ想いに蓋をする切なさのようなものを描けていたら良いなと思います。名無しさんを喜ばせることが出来て本当に良かったです!長文大好き人間なので、どうか気にせず是非また送ってください! (2020年11月12日 22時) (レス) id: 367472b3a3 (このIDを非表示/違反報告)
白菜(プロフ) - 名無しさん» コメントありがとうございます!図々しいと思い、結局説明文には書かなかったのですが、今回のお話は私の中での理解を深める意味と、もっと多くの人の恋愛の価値観を広げたいと思って執筆しました。誰かにこうして届けることが出来ただけで、私としては全てやりきった感 (2020年11月12日 22時) (レス) id: 367472b3a3 (このIDを非表示/違反報告)
白菜(プロフ) - りんごあめさん» お褒め頂きありがとうございます!デリケートなジャンルの更にデリケートな部分を攻めたお話なので私自身もビクビクしながら上げる決意をしましたが、そう言っていただけて良かったです!ゆっくりにはなりますが更新頑張ります! (2020年11月12日 22時) (レス) id: 367472b3a3 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 長々と乱文を失礼致しました。もしここまで読んでくださったのなら、本当にありがとうございます。あなたの文章が、世界が、大好きです。白菜さんの今と未来に、幸せがあり続けますように。 (2020年11月11日 20時) (レス) id: 4c7b111d07 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - それから、お分かりだとは思うのですが、これはあくまで1ファンの、マイノリティとして生を受けた者の1人の感想であり、当然LGBTs全員の総意ではありません。ただ私が嬉しかったってだけの話なんです。 (2020年11月11日 20時) (レス) id: 4c7b111d07 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白菜 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年10月31日 8時

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