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 そんな俺達の運命が交差することになったのは、今から数年前の十月……ここ、QuizKnockで正式に活動をしていくようになった月から四ヶ月が経った日の事。
 学業が活動のメインだった俺は一度も夜中のオフィスに足を踏み入れることは無かったのだが、その日はこの現代社会を生きていく為の必須アイテムであるスマホを机に置き忘れ、初めて誰も居ないオフィスを訪れることとなった。



「……あれ?」



 いや、一つ訂正。初めて誰も居ない【と思っていた】オフィスを訪れ、その予想はいとも簡単に打ち破られた。玄関先には男物のスニーカーがしっかりと揃えて置かれていて、部屋の奥からもなんというか、誰かが居るような気配が漂ってきていた。
 こんな時間まで残っているなんて一体誰だろうか、と首を傾げながらも取り敢えずスマホを回収しないことには来た意味が無いので、青を基調としているスニーカーの横に俺の靴も並べて、ゆっくりと廊下を進んでいく。

 扉に近づくと、隙間からうっすらと明かりが漏れている事に気づいた。ほんとにうっすらとだけ漏れている明かりに導かれるように扉を慎重に開け、中を覗き込む。



「Aさん?」

「っ……」



 あ、と思ったときには既に遅く、つい口をついて出てしまった言葉をもう一度喉の奥へ押し戻すように両手を口許へ持っていくが、仄かな明かりの中に紛れていたその人物は一拍早くこちらを振り向いて目を見開いていた。
 観念して両手を下ろし、暫し言葉に迷って視線をさ迷わせてから、恐る恐る俺は口を開く。



「あの……大丈夫、ですか」

「え……?」



 仄かな明かりの正体はAさんのデスクに設置されたスタンドだったようで、オレンジ色の明かりを灯すスタンドに一度目をやり、彼の方へ視線を戻す。
 「涙、」と溢すと漸く言葉の意味が分かったようで、彼は焦ったように手の甲で頬を伝う涙を拭い始めた。次に見たその顔にはもう、光を受けて輝いていた涙の粒は無かった。


 普段男勝りな姿しか見ていなかったせいか、こんなにも弱ったAさんはなんだかとても新鮮だった。
 大丈夫だと漏らす彼は到底言葉通りの大丈夫な姿には見えなくて、そんな姿を目の当たりにすると、大した関わりも無いのに何故か放っておけなくて、俺は無言で彼の隣の席に腰を落ち着けた。机の物を見た感じ、ここは福良さんの席だろうか。







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白菜(プロフ) - 名無しさん» まであります。好きってだけではどうしようもないもどかしさや、好きだからこそ想いに蓋をする切なさのようなものを描けていたら良いなと思います。名無しさんを喜ばせることが出来て本当に良かったです!長文大好き人間なので、どうか気にせず是非また送ってください! (2020年11月12日 22時) (レス) id: 367472b3a3 (このIDを非表示/違反報告)
白菜(プロフ) - 名無しさん» コメントありがとうございます!図々しいと思い、結局説明文には書かなかったのですが、今回のお話は私の中での理解を深める意味と、もっと多くの人の恋愛の価値観を広げたいと思って執筆しました。誰かにこうして届けることが出来ただけで、私としては全てやりきった感 (2020年11月12日 22時) (レス) id: 367472b3a3 (このIDを非表示/違反報告)
白菜(プロフ) - りんごあめさん» お褒め頂きありがとうございます!デリケートなジャンルの更にデリケートな部分を攻めたお話なので私自身もビクビクしながら上げる決意をしましたが、そう言っていただけて良かったです!ゆっくりにはなりますが更新頑張ります! (2020年11月12日 22時) (レス) id: 367472b3a3 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 長々と乱文を失礼致しました。もしここまで読んでくださったのなら、本当にありがとうございます。あなたの文章が、世界が、大好きです。白菜さんの今と未来に、幸せがあり続けますように。 (2020年11月11日 20時) (レス) id: 4c7b111d07 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - それから、お分かりだとは思うのですが、これはあくまで1ファンの、マイノリティとして生を受けた者の1人の感想であり、当然LGBTs全員の総意ではありません。ただ私が嬉しかったってだけの話なんです。 (2020年11月11日 20時) (レス) id: 4c7b111d07 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白菜 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年10月31日 8時

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