空白が四十二。 ページ43
「もしかしなくても探偵社員?」
敦より早く気持ちを立て直したAが困惑する敦を余所に微笑んで聞く。
人違いかとも思ったが、敦のことを知っていて、名前も一緒。そんなそっくりな人いる訳がない。
「...生きてたん、だね」
どうやって助かったのか、どうして記憶が無いのか、そんなことどうだって良かった。今はAが生きていたことが、どうしようもなく嬉しい。
頬に暖かいものが流れているのにも、気が付かなかった。
「...え、えっ?」
「良かった...」
今度はAが困惑する番だった。
思い切り抱きついてきた敦に、手持ち無沙汰になった手を硬直させる。
「孤児院でのこと、怒ってるのかと思った」
「え?」
「取り敢えず見られてるから離してもらっていいかな?」
「うわぁっ!?ごごご御免!!」
ばっと手を離され、抱きつかれた時のAと同じ体制になる敦。
それに気が付いたAは、何だか可笑しくなって、堪えきれずに笑った。
「...ふふ、御免ね。中に入れてもらってもいい?」
「あ、うん、勿論」
中に入れてもらい、今は接待用の椅子に座らされていた。
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作者名:みるくてぃー | 作成日時:2019年9月8日 13時