空白が三十五。 ページ36
「待、って!!」
喉に絡む血も無視して、金切り声で叫んだ。体はボロボロの筈なのに、起き上がる気力があった。
無理矢理地面に手を着いて何とか起き上がる。
近くに咲いていた桔梗に血が降り注いだ。
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探偵社内は緊迫した空気だった。何故なら今日、それもいつ何時『黒虎』による襲撃が来るか判らないからだ。
だが、もう今日が終わりそうだと云うのに、襲撃は来ない。
待ちくたびれた太宰が敦に声を掛ける。
「襲撃、来ないね。...ねえ敦君。院長の娘ちゃんのこと、他に何か知ってる?」
敦は「他、ですか...」と暫く考え込むようにしていた。
__『痛い!痛いよ!』
敦は手で頭を守るようにして蹲ることしか出来なかった。何人かの男子が集まり、見下ろすようにして敦を足蹴にしている。
その場には、Aもいた。
直接手を出しはしていなかったが、止めなかっただけで敦はAのことも「嫌な奴」のリストに入っていたのだ。
『あ、飴持ってる!』
誰かが一言、そう云った。そこからは敦を足蹴にすることから、飴を奪うのことに集中し始めた。
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作者名:みるくてぃー | 作成日時:2019年9月8日 13時