空白が十五。 ページ16
Aは密かに樋口を応援していた。一見格好良いマフィアの女性が中身は恋する乙女なんて可愛いじゃないか。
銀に手を振って別れると、また違う場所に向かった。余り自分から行きたい所ではないけれど。
「失礼します...」
ゆっくり、そーっと扉を開く。
というのも、この部屋は爆弾だらけだからだ。それも檸檬型の。
本人はAが部屋に入ってきたことに気付かず高笑いしている。
「梶井さん、失礼します、Aです」
「うははは...ん?おや、これは珍しい!なんの御用かな?」
やっと気が付いた彼に苦笑いして、転がる檸檬を蹴り飛ばさないように用心しながら梶井の元に近付き、話を切り出す。
「今度の任務...というか、明日の任務なんですが、潜入なんです。そこで、手っ取り早く終わらせる為に、薬を使いたくて」
そう云うと彼は何故か嬉しそうに笑って、それから自室の机を指差した。
「そこに転がってる白い錠剤は強力な睡眠薬だ!それにその隣のカプセルは致死量の毒が混ぜられたものだ!あとその隣は...」
止まらなくなりそうな彼の話をAは止めはしなかった。
長ったらしい説明を、全て彼が指している薬を見ながら聞いていた。
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作者名:みるくてぃー | 作成日時:2019年9月8日 13時