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回向(其の壱) ページ31

「っ…!何奴」




コツ、とヒールの音が厭に響いた。




привет там(こんにちは)




聞き覚えのある、何処か透き通った声が聞こえる。

ばっと振り返ると、見慣れた赤茶色の髪とプリーツスカートが揺れた。




「Aちゃん!?」




敦が云うと、芥川もそれに反応し飛ばされた体を起こす。




「あんたは、新しいメンバーの…」




羅生門から解放され、先刻より安心した顔の警備の一人が云った。




「新しいメンバー…?」




敦が不審そうにAを見るが、彼女は表情を変えない。




「A。フョードル・ドストエフスキーの側近」


「ドストエフスキーの側近…!?」




それを聞いて、Aが探偵社を辞めたという話を思い出した。

辞めて、今はドストエフスキーの所にいるのか。




「Aちゃん、如何して探偵社を…」




やめたの、と続ける前に、Aの青く鋭い目が敦を射止めた。




「呼ばないでくれますか?」


「…え…?」


「気安く名前を呼ぶなと云ったんです。

…私は死の家の鼠、ドストエフスキー側近の織田(・・)Aです。」




織田と聞いて、違和感を覚えた。

確か彼女の名字は、石川だったような…と思い出そうとすると、頬に何かが掠った。

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作者名:みるくてぃー | 作成日時:2019年6月16日 10時

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