共喰い(其の壱) ページ25
「…Aちゃん?」
谷崎の異変に気付き、敦も続いて振り返る。それから国木田も後ろを見た。
「居ない…!」
不安事が増えた。戦力も、頂点もいなくなった。
共喰いが齎す、探偵社崩壊の危機が間違いなく迫ってきている事に、厭でも目を向けなければならない時が来る。
このままでは、探偵社は__…
♢♢♢♢♢
病院の中、谷崎と国木田がいた。何も話さず、只待っていた。
与謝野の検査が終わるのを。
何時もなら冷静に指示に従い、時には的確な指示を出すA。
今回は太宰が撃たれて意識不明になってから、Aは感情全てが抜け落ちたようだったから、いるかいないかも判らなかった。
だからと云って、あの時Aを最後尾にしていなければ、消えずに済んだのではないか?
後悔が募っていく。
その時、タイミングが良いのか悪いのか、検査が終わった与謝野が病室から出てきた。
「社長の検査終わったよ…Aはどうしたんだい」
「与謝野女医、それが…」
国木田が気まずそうに云うが、与謝野の表情が冷静で、怪訝そうに首を傾げ乍ら「何かあったんだね?」と動揺を見せないことで、不安がほんの少しだけ和らいだ。
谷崎がAの事を云った時、与謝野が反応する前に奥からばたばたと云う忙しない音が聞こえてくる。
「大変です!マフィアに建物を__
包囲されています!」
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作者名:みるくてぃー | 作成日時:2019年6月16日 10時