太宰治誕生日番外編(参) ページ18
全員の揃った声。拍手が起こり、輪の中へ。
「覚えてたの?」
「当たり前じゃないですか!恩人の誕生日を忘れる訳ないですよ」
敦が笑って云う。続いて贈答品が夫々に贈られた。
酒だったり、食べ物だったり、手帳や縫いぐるみ、花束。
殆どが誰のものか判るが、(特に国木田君)それは夫々の気持ちと考えて受け取った。
只、そこにA一人だけいなかった。
用事でもあったのだろうか、それとも本当に忘れているのだろうか。
そんな事ばかりが浮かぶ。が、探偵社全員が祝ってくれているというのに、A一人知らない筈がない。
パーティも終わり、全員が解散し始めた。結局最後まで、Aは来なかった。
寂しさを感じ乍らも、一人帰り道を歩く。
「っ太宰さん!」
声がした。背後から。
振り返ると、息を切らしたAが駆け寄ってくる所だった。
「…A」
「御免なさい、遅れちゃって…まだ大丈夫ですよね」
そう云って自身の端末で時間を確認する。
街灯の明かりの下、彼と同じ色のAの瞳が何時もより輝いて見えた。
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作者名:みるくてぃー | 作成日時:2019年6月16日 10時