苦い甘さ(弐) ページ14
云われて、組合戦の真っ最中の時の特務課交渉の事故を思い出す。
「Aは異能を使ったね?」
「…ぁ」
思い出したのはそれだけではない。Aは自身の異能力を使った。
代償がついていると判ってい乍らも。
何も云えずに下を向く。太宰の顔が見れなかった。
「あれ程使っちゃ駄目だと云っただろう」
更に下を向いた。今自分がどんな顔をしているのか判らない。判りたくもない。
只、後ろめたかった。唇を噛んだ。
「御免なさい。…でもこの異能は探偵社に入社した時から、人を助ける為に使うと決めた」
負けじと云い返すAに動じず、太宰はAの目を確りと見て云い切った。
「違うよ、私が云っているのはそういう事じゃない
君の異能力は代償がついているから。
使った分だけ、命を削る」
痛いところを突かれ、やり場のない手をスカァトに握らせた。
判っていた、そんなこと。小さい頃、それが判明してからは余り、否、全く使うことはなかった。
だが、太宰を思っての良心だ。
只太宰を助けたかった。それだけ。
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作者名:みるくてぃー | 作成日時:2019年6月16日 10時