四話 ページ4
突然意味の判らないことを云ってきたその人に、諦めの感情は段々苛立ちに変わってくる。
「何が...」
「何が判るの!?」
気付けば私は相手の胸倉を掴んでいた。
こんな力出たのかと思う程キツく握り上げて、叫んでいた。
「何も知らないあんたからの口だけの褒め言葉なんて欲しくない!」
「私には、才能が無いんだから...」
今度は、憤りは哀しみに変化して、胸倉を掴む手から力が無くなっていくのが判った。
なんてことしてんだろ、私は。こんなことは只の八つ当たりだ。
また何度目か判らない自己嫌悪に陥り、手で顔を覆う。相手の顔なんて見られなかった。今此処で殴られても可笑しくはない。
「小説を書くことは、」
反射的に顔を上げる。その人は、先刻から表情を変えずに只そこに立っていた。
まだ降り続ける雨がその人の綺麗な赤髪を濡らしている。
「人間を書くことだ」
口を開いたと思ったら、良く判らないことを説かれて、呆然とするしかなかった。
「ある人から教わったことだ」
「...だから何」
顔に張り付いた髪を剥がすこともせずに睨む。不貞腐れた子供みたいだとは思ったが、今は感情任せに動いていたかった。
「それを云いたかっただけだ。邪魔して悪かった」
「ちょ、ちょっと待ってよ」
踵を返そうとするその人を焦って呼び止める。
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みるくてぃー(プロフ) - りーこさん» コメント有難うございます!面白いと言って頂けて光栄です...頑張ります! (2019年10月8日 22時) (レス) id: 7b7340be6b (このIDを非表示/違反報告)
りーこ(プロフ) - コメント失礼します。織田作が出てくる小説を初めて読みましたが面白かったのでこれからも更新頑張ってください。お気に入り登録しておきます。 (2019年10月8日 20時) (レス) id: 84cbb07a27 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みるくてぃー | 作成日時:2019年10月3日 0時