二十三話 ページ23
話しているとあっという間に着いたその場所は、横浜とはまた空気が違う感じがして、気持ちよかった。
それは私の只の思い込みかもしれないが。着いた時にはもう夕方で、直ぐに目的の場所へと向かう。
「織田作はさ、如何して小説家になろうと思ったの？」
過去は聞くことが出来なかった分、そのくらいなら聞いてもいいかと何気なく、何時もの雰囲気で聞いたことだった。
「俺は＿＿ある人に云われて、小説家になろうと決めた。だがその前は、」
その先を聞いて、領域の境界線が抑も判っていなかったんだと悔やんだ。だが時は元には戻せない。
織田作の口は止まらず、私はただ聞いているだけだった。その内にその小説を書いた人物が気になって、其方の方に気が逸れていたことに気が付く。
「...私織田作の事何にも知らなかった」
「そうか？...云われてみれば俺ばかり知っていたな」
けろっとした答えは、織田作の嘘ではない。それは知っていた、...とも云いきれる程会って時間が経ってもいない。
考えれば考える程悪い方向に行ってしまうこの頭をどうにかしたかった。
「それなら、これから知っていって欲しい」
「俺もAの事を全て知っているわけじゃないないからな」
あっさり云う織田作に、本当にどうにも思っていないのか、と不安になることもあったが、矢張りこれは織田作の本心なような気がする。
たった二十年ほどの経験で判ることは、それだけだった。
それでも嬉しかった。
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みるくてぃー(プロフ) - りーこさん» コメント有難うございます！面白いと言って頂けて光栄です...頑張ります！ (2019年10月8日 22時) (
レス) id: 7b7340be6b (このIDを非表示/違反報告)
りーこ(プロフ) - コメント失礼します。織田作が出てくる小説を初めて読みましたが面白かったのでこれからも更新頑張ってください。お気に入り登録しておきます。 (2019年10月8日 20時) (レス) id: 84cbb07a27 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みるくてぃー | 作成日時：2019年10月3日 0時
