十七話 ページ17
「勉強は出来たけど、絵とか音楽とか、そう云うのは苦手だったんだよね。
音楽は努力すれば出来るようにはなったけど、そこまで人より苦労はしたし」
あの頃の自分を思い出して苦笑いする。
「でも、物を書くってことだけは、苦手じゃなかった」
「寧ろ得意だったんだよ。それがどうしようもなく嬉しくて、楽しくて。親にそっちの道に行かせて欲しいって頼んだの」
元々は行く大学だって親から勧められていた所に行く予定だった。
そこからは想像出来る通りだ。よくある話。
「そりゃもう猛反対で。両親は弁護士と大学の教授だったから、更に。」
「そこから大喧嘩になって、私が出て行くって家を出たの。初めて一人で都会に来て、仕事探そうってなった時に見つけたのがポートマフィア」
今でも最下級構成員は大人じゃない人も訳ありな人もいる訳だから、私の事を雇ってもらえたのも不思議ではない。
「普通ならそれでマフィア入ろうとはならないだろうけど、私は親にムカついてたから親とは反対の道を進みたくて」
「それでポートマフィアに入ったのか」
うん、と頷く。その通りだ。
よくよく考えれば浅はかだった。後戻りなんて出来はしないのに、その場の考えで入って、才能を買われてこの地位にまで上がってしまった。
「後悔、してるか?」
でも、
「してないよ。上司も優しくて良い人だし、可愛い後輩もいるし、何より」
「織田作とも知り合えたしね」
結局それが一番なのだ。出会ったのは川辺りだが、マフィアという共通点が無ければここ迄仲を深めることもなかったかもしれないし。
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みるくてぃー(プロフ) - りーこさん» コメント有難うございます!面白いと言って頂けて光栄です...頑張ります! (2019年10月8日 22時) (レス) id: 7b7340be6b (このIDを非表示/違反報告)
りーこ(プロフ) - コメント失礼します。織田作が出てくる小説を初めて読みましたが面白かったのでこれからも更新頑張ってください。お気に入り登録しておきます。 (2019年10月8日 20時) (レス) id: 84cbb07a27 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みるくてぃー | 作成日時:2019年10月3日 0時