十四話 ページ14
約束の時間の一時間前。
私は、先日紅葉さんと選んだ服を着て、人気のない静かな海に来ていた。十月ともなると流石に海で遊ぶ人はいないし、遊ばないとなると海に来る人は意外と居ないものだ。
丁度いい岩に腰掛けて、背負っていた
暫く触っていなかったそれは音程はズレまくっていたし弦が少し錆び付いてもいた。
フラットピックを滑らないように持ち直して、感覚を取り戻す。
「...爪、切ってくれば良かったな」
弦が押さえにくいと思って始めて爪を定期的に切っていなかったことを後悔した。
それでも弾けるものは弾ける。感覚を完全に取り戻すまで、ゆっくりストロークを繰り返す。
慣れてきたら思い出した歌を歌いながら弾き語りをしていく。
「〜♪」
外で歌うと云うのは普段なら羞恥心が邪魔して叶わないが、此処でなら出来る。
耳に入るのは一定のリズムを刻む海の音と、それに合わせて弾かれる弦の音。
作曲した時もあった。兎に角芸術に触れたかった。
ただそこにあったのがこのアコースティックギターだっただけで。
今私の傍にあるものがギターじゃなくて紙とペンでも、昔は、これだったんだ。
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みるくてぃー(プロフ) - りーこさん» コメント有難うございます!面白いと言って頂けて光栄です...頑張ります! (2019年10月8日 22時) (レス) id: 7b7340be6b (このIDを非表示/違反報告)
りーこ(プロフ) - コメント失礼します。織田作が出てくる小説を初めて読みましたが面白かったのでこれからも更新頑張ってください。お気に入り登録しておきます。 (2019年10月8日 20時) (レス) id: 84cbb07a27 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みるくてぃー | 作成日時:2019年10月3日 0時