十二話 ページ12
何時もは高く結い上げている髪を下ろすと、ふわふわしたウェーブのかかった髪が肩につく。
何度も鏡で自分の姿を確認して、忘れ物がないかもチェックした後、家を出た。
少し早めに着いた筈が、相手はもうそこにいた。
「すみません、待ちましたか?」
「まだ十分前じゃ。お主も律儀じゃのう」
そこには、普段着ている着物ではなく、大人っぽい洋服を身に纏う紅葉さんが立っていた。
「矢っ張り綺麗な人は何を着ても綺麗なんですね」
「その言葉は後でAにそっくりそのまま返してやろう」
紅葉さんの全身を見て褒めると、紅葉さんは上品に笑い、私にそう云った。
休日、私が紅葉さんにお願いをしたのだ。最近の流行りが判らないから、出掛ける時の服を選んで欲しい、と。
私のことを気に入ってくれている紅葉さんは嬉しそうにしながら「お主に似合うものを選んでやろう」と云って下さった。
そして今日がその日だ。先刻紅葉さんのファッションセンスを見せつけられた。
これから選んでもらうものに期待。
「それはそうとA」
「!はい」
「着飾ることに興味のなかったお主がそう云うということは、男か」
只、この場合の質問攻めは覚悟しておかなければならないだろう。
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みるくてぃー(プロフ) - りーこさん» コメント有難うございます!面白いと言って頂けて光栄です...頑張ります! (2019年10月8日 22時) (レス) id: 7b7340be6b (このIDを非表示/違反報告)
りーこ(プロフ) - コメント失礼します。織田作が出てくる小説を初めて読みましたが面白かったのでこれからも更新頑張ってください。お気に入り登録しておきます。 (2019年10月8日 20時) (レス) id: 84cbb07a27 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みるくてぃー | 作成日時:2019年10月3日 0時