放課後。六話 ページ6
ふわりと笑って、彼は名前を教えて欲しい。そう云った。そんなことなら、と思って口を開くが、その時一瞬脳裏に写ったのは彼女の顔だ。
太宰先輩は彼女の名前知らないのに、私が先に良いのだろうか。
少し悩んで、でも名前くらいなら良いか、と自己完結した。
「矢島Aです」
「Aちゃんね、おっけー」
彼は私の名前を復唱して、箱を持ち直す。名前の方で呼ばれるとは思わなかった。
そして、「国木田先生に渡しておくね」と云って職員室前の階段を足早に降りていった。
手持ち無沙汰になった私は、疲れた手をぶらぶらと振りながら自分の教室へと戻った。
カラカラ、といい音を立てて扉が開く。誰もいないまだ昼の教室は、程よく涼しくて日差しが暖かい。
窓が隣の自席に座ると、うとうとと微睡んでしまう。もう夏休みだし、いいか、と机に突っ伏すと、直ぐに眠ってしまったようだ。
_____________………
目が覚めて横に目を向けると、外はもう茜色に染まっていた。
頬に制服の痕がついていないか触る。帰らなきゃ、と立ち上がって初めて、その存在に気が付いた。
上から下まで真っ黒の、同じクラスの彼の人。
余り話したことがないので、声を掛けることも出来ずに「あ」と驚いた振りをした。
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みるくてぃー(プロフ) - レインさん» 何時も来て頂いて有難うございます!いい話だなんて...嬉しいです。(笑)また新作作ってるので、作ったらまた宜しくお願いしますね! (2019年8月5日 21時) (レス) id: 7b7340be6b (このIDを非表示/違反報告)
みるくてぃー(プロフ) - 雪菟さん» か、感動して貰えて光栄です!!こちらこそ読んで頂いて有難うございました! (2019年8月5日 21時) (レス) id: 7b7340be6b (このIDを非表示/違反報告)
レイン(プロフ) - 完結おめでとうございまずぅぅぅぅ!!!(号泣)めっちゃいい話でした!!!めっちゃ好きになりました!!!!もう、これ、あの、広まれぇぇぇ!!!(うるせぇ) (2019年8月5日 18時) (レス) id: f0b4214c85 (このIDを非表示/違反報告)
雪菟(プロフ) - 完結おめでとうございます!とても感動するお話をどうもありがとうございます! (2019年8月5日 17時) (レス) id: 93dfc2fd05 (このIDを非表示/違反報告)
みるくてぃー(プロフ) - レインさん» 新作にも来て頂いて、有難うございます!ストーリーを褒めて頂けるとめっちゃ嬉しいです、、!頑張ります! (2019年7月26日 19時) (レス) id: 7b7340be6b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みるくてぃー | 作成日時:2019年7月26日 8時