【文豪ストレイドッグス】青春の定義。【太宰治】

ファミレス。十六話 ページ16

昼時のファミレスで、水滴が流れるメロンソーダのコップを滑りそうになりながら口元に持っていく友人が、唐突にそう云った。

メニューを見ていた私は顔を上げる。屹度自分の恋バナをしたいがために私のことも一応聞いておこうとでも思ったのだろう。




「…えー？何で」


「芥川君は？」




聞いて直ぐに返ってきたのは今日シャー芯を貸してくれた彼だった。

彼のことは優しいとも可愛いとも思っていたが、そういう目で見たことはなかったし、予想外だった。




「は、え？何でそうなんの」


「今日、シャー芯貸してもらってたでしょ。見たよ私」




口角を上げてにやりと笑うその子はそれでも絵になる。

それよりも、私はあんなに熟睡していたと思ったその子が起きていた事に驚いた。

寝ている演技が上手すぎて、気が付かなかった。それとも私が余裕がなかったからだろうか。




「起きてたの？」


「実はね〜。私が寝てたらA芥川君に借りるかモニタリング」




にっこり小悪魔的に笑ってメロンソーダを飲んで、水滴のあとがついたテーブルの上に音を立てないようにコップを置き、肘をついた。

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