何でまた泣く？ ページ16
「コノハヅキさんのおっしゃる通りだと思います」とリーハ君も言ったからか、リーオックさんは「……そうかあ？」と納得したようだった。
かくして、静かなお絵描きタイムが始まった。
普通の子供達はこういう時、クレヨンや色鉛筆を使うというイメージがあるけど、リーオックさん達が使っている道具は結構本格的。
画材全てを(現)幼児のコノハヅキさんが提供してくれたからだ。
もちろんクレヨンや色鉛筆もあるけど、二人は筆を握りキャンバスに向かってもくもくと何かを描いていた。
リーオックさんは唇をキュッと結んでいるけど、コノハヅキさんはひたすらにニコニコしている。
何よ………。
クソガキだと思ったら天使じゃないの、二人とも……。
ほのぼのとした居間の様子は、本当に見ていて癒された。
私は超高速で目玉焼きを飲み込み、テーブルの上を片付けた。
リーハ君は「お手伝いします」と申し出てくれたけど、私は「大丈夫、二人を見ていて」と頼んだ。
それからキッチンの扉を開けっ放しにして、お皿洗いを始めた。
しかし。
平穏は束の間だった。
リーオックさんがまた、「ウワアアアアア！」と喚き出したのだ。
「どうしたの？！」
私はガシャン！とお皿を置いて居間に駆け込んだ。
「あ、ナナミさん！」
リーハ君は泣き喚くリーオックさんを前にオロオロしていた。
コノハヅキさんはリーオックさんに何事か言っているみたいだけど、リーオックさんの声が大き過ぎて全く聞こえない。
「何があったの？」
見たところ、何か物が壊れている訳でもないし、誰かが怪我をしたという訳でもないらしい。
とりあえずホッとした。
でも、それならどうしてリーオックさんがこんなに泣いてるのかしら。
「あの、ナナミさん……」
「ん？」
リーハ君がリーオックさんの様子を伺いながら、私をダイニングに誘導しようとしている。
「どうしたの？」
ついていくと、リーハ君は声をひそめて喋り出した。
「リーオックさんは、自分の絵にビックリして泣いているみたいなんです。」
「ビックリ？」
「『おもっていたのとちがう！』って言っていました。コノハヅキさんは慰めていたのですけど……」
「ああ……」
つまり、リーオックさんは思っていた通りに絵を上手く描けなかったのね。
隣にいるコノハヅキさんがまた、すごく上手いから(それは仕方ない事だけど)プライドがズタズタになっちゃったのね。
……可哀想に。
だけど、なんと言って慰めたら良いのよ。
困ったわ……。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 6人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
冷兎 - シャーロックさん» それはない、え、てか二人が言うこと聞くとか明日地球滅亡するの？？ (2021年1月31日 21時) (
レス) id: c9ef579e5a (このIDを非表示/違反報告)
シャーロック(プロフ) - 冷兎さん» ふふふ、ナイスなのはレイトの絵がすっごくかわいいからだよ！ (2021年1月31日 15時) (レス) id: 9c59d2a140 (このIDを非表示/違反報告)
冷兎 - 姉貴…ここであの絵を取り入れてくんのと青葉入ってくんのナイスすぎる (2021年1月31日 1時) (レス) id: c9ef579e5a (このIDを非表示/違反報告)
シャーロック(プロフ) - 冷兎さん» もうめっちゃくちゃだねwこれが本当のクレイジーDAYS☆ (2021年1月29日 21時) (レス) id: 9c59d2a140 (このIDを非表示/違反報告)
冷兎 - シャーロックさん» あ、俺よりヤバイ人出てきてはるんですけど？？え、ちょ、らんn((ナナミぃ！サンクチュアリ燃やして彼女と一緒に日本に帰って来い！！ (2021年1月29日 21時) (レス) id: c9ef579e5a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：シャーロック | 作者ホームページ：https://twitter.com/Sherlock_Rio
作成日時：2020年12月22日 22時
