29話 ページ31
「…はい？貴方、私に何と仰いました？」
『だから、馬鹿じゃないのって言ってんの』
「なんですって！？？」
顔を真っ赤にして怒り出す三人。
何かを喚き散らかしているが、そんなのどうでもよかった。
『あんたら貴族が平民を下に見るのは受け入れてる。事実、身分制度の中で私たちは貴族の下でしかないのもわかってる！』
ピリッと周りに電気が走る。
魔力量が多い者が怒りや悲しみの感情を強く表に出した時に見られる魔暴走である。まだ幼いからか、魔法自体は弱いものだったが、近くにいる三人の周りにも電気が駆け巡った。
『でも、きんときくんが平民だったという過去を都合よく有耶無耶にしようっていうのが気に入らない！きんときくんの過去はきんときくんのものでしょ！？あんたらが勝手に立ち入って良いものじゃない！！』
『平民のきんときくんも、貴族のきんときくんも、どっちも彼の人生だよ！それを他人が蔑ろにするのは、絶対にやっちゃいけない』
勢いに任せて言葉を紡いだ。
彼女たちはしばらく何も言えずに口をパクパクとさせていたが、やがて静電気でボサボサになった髪の毛を気にしながら何処かへと逃げていった。
ふぅ…と一息ついてから、辺りを見渡して自分が魔暴走を起こしたことに気づき、そこまで怒っていたことに驚く。
自分も同じ平民だから？きんときくんが可哀想だから？？
否、その人だけの領域を、他人が踏み荒らすのを見ていられなかったから。
それだけの、自己中な理由。
気持ちを落ち着け、彼女たちが去っていったのと逆側の通路へ向かう。
角を曲がろうとしたところで、そこにいた人とぶつかりそうになった。パッと顔を上げる。
『き、きんときくん』
そこには、俯き前髪で目元の見えないきんときくんが柱に背をもたらせて立っていた。
もしかして、聞こえていただろうか。
よくよく考えれば、お前はきんときくんの何なんだと言われそうなことを叫んでいた気がする。そして、咄嗟に謝ろうという考えに至る。
『…ッ、きんときくん、ごめ』
kn「ありがとう」
謝罪を、遮られる。遮った言葉は、感謝の言葉だった。
『…え？』
kn「なかむたち以外で、俺のことでそんなに怒ってくれる人、今までいなかった」
kn「…嬉しかった。俺の平民の頃を大切にしてくれる人は、もうこの世にはいないと思ってた」
kn「まだ女の子は怖いし、関わりたくない、けど。」
君のことは、信じてみたい。
そう彼は言った。
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紫築(プロフ) - Mentaikoさん» うわー誰だそれ！ご指摘ありがとうございます、助かります…！ (2023年2月2日 7時) (
レス) id: bcd78cf19c (このIDを非表示/違反報告)
Mentaiko(プロフ) - あの.....番外編�い里箸海蹇�[描いてあったのはスタイルくんの似顔絵]になってますよ...！ (2023年2月2日 6時) (レス) @page38 id: da99e2fb00 (このIDを非表示/違反報告)
紫築(プロフ) - 雫さん» ありがとうございます！気長に待っていて下さると嬉しいです🥰 (2023年1月27日 22時) (レス) id: bcd78cf19c (このIDを非表示/違反報告)
雫 - ぬぅうわあああ、むっちゃ続き気になります! 面白いです🤣 (2023年1月27日 20時) (レス) @page29 id: fbda915cf9 (このIDを非表示/違反報告)
紫築(プロフ) - カナさん» コメントありがとうございます…！最近忙しくてあまり更新できず申し訳ないです…！構成がまとまり次第、少しずつ書いていこうと思います…！！ (2022年10月11日 23時) (レス) id: bcd78cf19c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紫築 | 作成日時：2022年9月16日 2時
