果実と罪

第9話 ページ10

〜Aside〜


さっきの喫茶店をでて



彼の元へ向かう


彼のお墓に…


))あ！、Aちゃん？久しぶりです、


後ろから聞こえるのは彼の彼女。




彼を死に追いやった張本人




A)どうも、



))まだ私の事、妬んでる？


A)貴方を妬んだところで彼は戻ってきません


彼のお墓の前で2人で話すことではない



でも彼の前でそうはっきり言いたかった



))私ね結婚するの。伝えに来たの、ちゃんと彼に


そう言って手を合わせる



ふざけないでよ…



その言葉が漏れる前に



A)おめでとうございます




思ってもない言葉が口から出る



))貴方にも、迷惑かけたし私の事恨んでもしょうがないのに、ありがとう…



そして彼女は婚約者の車に乗って帰った


どうしても彼女を、恨めない



でも、少しだけさっき恨んだ



貴方は幸せになるべき人ではない



どうして私だけこんなに苦しんでいるの



彼に別れを告げ帰りの電車に揺れながら


これからの事を考える



そしてたまには違うお店でもいいかな、と


焼き鳥屋さんに入る



A)そういえば、今日会いたいとか…



喫茶店で話した男の人の事を思い出した



その時はどうでもいいと思っていたのに



今となっては気になってしょうがない


午後11時にはお会計を済ませ外に出る



夜の風に身を任せるように歩く千鳥足




フラフラとしてると交差点の向こう側にあの人がいた




急いでいる様子で私のことは気づいてはない




私はなぜか目で追ってしまい



日)あのっ！！！



彼の声は私にまで聞こえるぐらい大きくて




どこかで聞いたことのある声


私は信号が青になる前に彼に会いたくて



誰もいない交差点を小走りで渡る



彼と交わるように



この夜のど真ん中で



愛を求める




午前０時

第10話→←第8話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す