その出会いは突然に その2 ページ3
……まずい、寝落ちした。
目は閉じたままで、唐突に意識が戻ってきた。授業中に居眠りした時みたいに妙にがんがん頭痛がする。やらかしたな、この感じ苦手なんだよなあ……。
唾をぐっと飲み込んで、ゆっくりと瞼を開く。日に焼けた畳がすぐそこに見えた。
……ん？畳？
いやいやいや、おかしい。絶対におかしい。私の部屋はフローリングだし、寝落ちしたのもベッドの上だったはずだ。畳があるはずがない。
明らかに異常事態なのに頭痛のせいだろうか、妙に思考が澄んでいる。首だけを回して辺りを伺うと、濡れ縁の向こうに見事な日本庭園が見えた。桜並木が風に揺られて、その花片を散らしている。
なんだかこの景色、既視感がある。
更に視線を巡らすと、使い込まれた様子の文机と黒いコートを纏う丸まった背中が見えた。
遠くから聞こえるざわめきと、万年筆だろうか、ペン先が机の上を走る音がやけにリアルだ。
……もしかしてこれ、白昼夢ってやつ？
書き物をしている青年は随分集中しているようで、私が起き上がっても気付く様子はない。
(白昼夢だとしたらここ、自分の想像の中だし、何をしても大丈夫だろ。多分)
自分の中で勝手に結論を付けて、私はこっそり文机の方へ向かう。
とんとん、2回肩を叩く。なあに、と少し気怠げな声で返事をした彼は、振り返った瞬間に固まってしまった。
｢清光？｣
猫みたいに切れ長な瞳が突然まんまるに見開かれて、だんだん潤んでくる。
あっやばいやばい泣いちゃう。可愛い初期刀を泣かせるとか審神者失格じゃん私のバカ！慌てて膝をついて清光と目線を合わせる。
｢ごめんね、びっくりしたね｣
声が震えているから格好がつかない。こういう時どうすればいいのか誰か教えて欲しい。
｢あ、るじのせい、じゃないから｣
ぼろぼろ大粒の涙をこぼして、しゃくりあげながらも清光が言う。いよいよ申し訳なくなってきて、せめて何か顔を拭えるものが無いかとポケットを漁る。胸ポケット、スカートのポケット、制服の裏地のポケット……とそこまで探して指先に何かが触れた感触があった。
ある！！ハンカチ持ってるじゃん！！使わずに忘れてたやつだ！！！！えらいぞ私！！！！！
引っ張り出した薄紅色のタオルハンカチで、止むどころかどんどん流れてくる涙を拭う。思っていたよりも触れた頬は暖かい。
(ああこの子、私の清光なんだ。私の刀剣男士は、ここにいるんだ)
何故かわからないけれど急にそう感じられて、なんだかこちらまで泣けてきた。
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ミミミ(プロフ) - こだぬきさん» ありがとうございます！こだぬきさんの元にもこだぬきさんの刀剣男士たちが訪れますよう願っております、私もいつか彼らとお話してみたいです(*´`)ゆっくり更新ですがゆるりとお待ち頂けると嬉しく思います。 (2019年5月2日 22時) (
レス) id: 8134640c57 (このIDを非表示/違反報告)
こだぬき(プロフ) - はじめまして！お話読ませて頂きました！私も実際に夢でもいいから自分の刀剣達に会いたいです…(*´ω｀*)これからも応援させて頂きます！また遊びに来させて頂きます！ (2019年5月1日 16時) (レス) id: 680cc78f50 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミミミ | 作成日時：2018年12月2日 16時
