目線を合わせて【N.K】 (ページ8)

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「でも…」

これを印刷し終わっても、ホッチキスで留めて、
人数分に振り分けなきゃいけない。

「まだ、かかっちゃうから」

『いーよ。俺もやってやるから。

ほら、それ終わったんじゃないの？』

ずっと聞こえていたコピー機の印刷音が消えて

オフィスがいきなり、"2人の空間"に変わった

「い、急いで終わらせます！」

『そ？
いいの？』

主任に仕事を手伝わせたら、借りだからとか言われて
もっと仕事増やされたりしそうで

「すぐ出来ますから、だから先帰ってください。」

そんなこと、絶対嫌だ

『すぐ終わるんでしょ？』

「そ、そうですけど…」

『電車で帰るより、車の方が早く家に着けると思わない？』

「思い、ますけど…」

『ならつべこべ言わずに
俺の言うこと聞きなさいよ。』

なんか変じゃない？

いつもより声も顔もずっと優しくて

命令口調なのは変わらないのに
私の椅子に座ってこっちを見る主任は

なんだか、別人みたいで
これ以上見つめることなんて、出来なかった。

私まで、なんだか変。

…なんで主任を見ると

こんなに胸がウルサイんだろう。

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