目線を合わせて【N.K】 (ページ22)

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『初めて見たのは資料室。』

資料室？

…なんの話？

『相葉さんが可愛い子が入ったとかなんとかでうるさくてさ、
面倒くさくなる前にって資料室に逃げ込んだ時だったんだよね

その"可愛い子"を俺も見たのは。』

突然始まった昔話に
理解は全くついて行っていない

相葉さんが言ってた可愛い子…？

『セミナーで俺が担当するリストにその子の名前があって
そっからデザイン課に引き抜いたのは、俺。』

一体何が言いたいのか分からずに
きょとんとすることしか出来ない

主任は私に、理解しろと言ったけど

話の意図が全くわかりません…！

『その子、最初は俺を見て目キラキラさせててさ、

俺の事好きなのかなーってね、思ってたわけ。』

「…？」

『でもさ、俺よりどうも相葉さんがお気に入りみたいで
こっちをちっとも見なくなっちゃったの

…だからちょーっとだけ意地悪してたんだけどねー。』

「…主任、？」

『ん？』

「…もっとわかりやすく話してください、」

『…(笑)

その子はね、頑張り屋で、ちょっとドジで。鈍感で目があうとすぐ逸らして。

俺の事キライな癖に、近づいたら急に赤くなって』

「…だから、それは誰の…、」

"誰のことですか"
そう聞きたくて顔を上げた

そしたら案の定目線が絡まって
私の方を見つめた主任がクスッとわらってこう言った

『誰のことか、知りたいんでしょ』

…そう、だからはやく教えてほしいの

目線を合わせられるのが恥ずかしくて、逸らそうと顔を背けても、
後頭部に回った手がそれを許さなかった

『こうやって無理やりにでも目を合わせたら

…めちゃくちゃかわいくなっちゃう女の子の話、してんのよ。俺。』

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