【呪術廻戦】先生、恋して。【夏油傑】

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Aは書類の前で呆然と立ち尽くした。

この量をやるのか。

しかも一人で。

そんな事を考えながら時計を見ると、普段であれば、自身が帰宅する時間帯であった。





『…。』

「…もしかして、まだやってない？」





黙り込んでしまったAを見て、夏油が声を掛ける。





『すみません…その、これの事は聞いてなかったんです…。』





Aは軽く謝罪をすると少し考えた末に、机に並べたファイルを手に取った。

仕方無い。

友人にファイルの中身を聞かなかった自身にも非がある。

そう結論付けたAは、保健室の扉へ身体を向けた。





『…教室でやってから持ってきますね、もう一回来ても良いですか？』




夏油に確認だけを取って、Aは再度来ても良いか尋ねた。

放課後でも生徒が来る事は多く、此処に居座るのも邪魔だと考えたからだ。

Aが立ち去ろうとすると、夏油は意外な言葉を口にする。





「此処でやりなよ、私も手伝うから。」

『え？、でも夏油先生のお仕事の邪魔になりますし…。』

「もう終わったから大丈夫だよ。」





夏油がそう言った直後、マウスをクリックする音が奥で聴こえた。

そして夏油は椅子から立ち上がると、出て行こうとするAの横へ向かう。





「貸して。」

『ぁ、…はい…。』





Aがファイルを手渡すと、夏油は慣れた手付きで書類を捲り始めた。





「…うん、そんなに時間は掛からないかな。」

『…、すみません…。』

「Aのせいじゃ無いから気にしなくていいよ、座って。」





夏油はそう告げると、ファイルを置いていた机の椅子を引き、Aに座る事を促した。

向かい合う様に座る夏油とA。





「はい、こっちはAがお願いね。」

『ぇっ？！』





夏油は手に持っていた書類の半分以上を自身の手元に残していた。

それに驚き、Aは声を漏らしたのである。





「どうかした？」

『私の量、めっちゃ少ないから…夏油先生、そんなにいいんですか？」

「いいよ、私は慣れてるから全然大丈夫。」

『…すみません、ありがとうございます。』





Aは手に持っていたバッグを足元に置くと、夏油共に、アンケートの集計を始めるのであった。

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