検索窓
今日:8 hit、昨日:17 hit、合計:129,912 hit

〈10〉 ページ11

あれから数十分。

何処か空気が重くなった気がする。

それからと言うもの、特に夏油は何も言って来なかったのだが、Aにとっては却って不安だった。





「私は終わったよ、Aはあとどのくらいかな?」

『ぇ、っと…あと5枚も無いので、すぐ終わります…。』





Aは自身が持つ手元の用紙を数えて、夏油にそう伝えた。





「そう、じゃあ…終わったら私のと一緒にしておいて。」





夏油は書類を綺麗に一纏めにすると、椅子から立ち上がり席を離れた。

そして再び自身の机に向かって、何やら作業を始めている。





『わかりました…。』





視界から夏油が居なくなり、Aは一時的な安堵を得る。

目の前に居られるとこんなに心地が悪い物なのか。

一刻も早く、此処から立ち退きたい。





『…、はぁ…。』





溜め息にも似た浅い深呼吸をすると、Aはペンを強く握り文字を綴った。

そして緊張が僅かに解けたからか、何だが喉が渇いている事に気が付いたA。

足元にある開きっぱなしのバッグから、飲み物を手に取った。





『…、ぁっ…。』





ボトルのキャップを捻り、口元に運んだ瞬間に目の前の壁が視界に入った。

飲食禁止。

その文字が大きく印字されたラミネートが壁に貼ってある事に、Aは気が付いた。

不味いと思い、咄嗟にキャップの蓋を逆向きに戻す。





「あぁ、飲んでいいよ。」





すると、Aを見ていたのか夏油はそう答えた。





『ぁ、…ありがとう、ございます…。』





夏油に気遣わせたのを申し訳無く思いながらも、Aは飲み物を口にした。

甘い飲み物が喉を通過する。

そして、それは少しだけAの心を落ち着かせた。

〈11〉→←〈9〉



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (235 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
421人がお気に入り
設定タグ:呪術廻戦 , 夏油傑 , 五条悟
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

みゅん(プロフ) - シオリさん» シオリ様コメントありがとうございます!ドキドキして頂けて嬉しいです!私は夏油さんと五条さんお二人です。夏油さんのお話はこれからも書いていければいいと考えております! (2022年3月19日 6時) (レス) id: a9a2211c25 (このIDを非表示/違反報告)
みゅん(プロフ) - なっちゃんさん» なっちゃんさん様コメントありがとうございます!また、作品を見て頂けて嬉しいです!特別公開の事ですが、申し訳ありませんが、現段階ではその予定はございません。 (2022年3月19日 6時) (レス) id: a9a2211c25 (このIDを非表示/違反報告)
シオリ - いや夏油が先生であることにめっちゃドキドキしてる😳私は夏油推しなのですがみゅんさんは何推しですか?🙌😆 (2022年2月23日 6時) (レス) @page5 id: 36ddcc805a (このIDを非表示/違反報告)
なっちゃん(プロフ) - 初コメ失礼します。初めてこの作品を見たのですが、特別公開はもうされないのでしょうか。 (2022年2月20日 14時) (レス) id: 581025b236 (このIDを非表示/違反報告)
みゅん(プロフ) - 愛飢子さん» 愛飢子様コメントありがとうございます!申請に気付けず申し訳ありませんでした!また、作品の整理をしており申請をお受けする事は難しいです。折角送っていただいたのに申し訳ありません。新作を公開しておりますので、是非とも見て頂けましたら幸いです! (2021年10月17日 8時) (レス) id: 9090ac03df (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:みゅん | 作成日時:2021年7月27日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。