60episode ページ12
「私、今はパパとママが海外に行ってるから、少しだけ親戚のお家に預けられているの」
後に面倒臭いことにならないように、嘘を交えながら怪しまれないよう事実も伝えた。まぁ、7割型嘘だ。
「大変なのね…」
「まぁね。でも、私は我慢しないと!」
小さいのに我慢をする可愛い女の子。それを演じながら内心ほくそ笑む。子供は相手にしやすい。
「両親は何やってんだ?海外で」
「分かんない…」一瞬悲しげな表情を見せ、でもすぐに笑顔に戻る。「けれど、きっと素敵なお仕事をしてるわ!たとえば、モデルとか、ファッションデザイナーとか、、」
無意識に我慢が顔に出そうになっているのを装って、うるうると瞳を滲ませる。どれだけこらえても涙は溜まっていくばかりで、一つ雫が頬をつたるのを合図にぼろぼろと涙が溢れ始めた。
「ふぇ、でも、…ふ…っぅ、わたし、は…ままぁ…ふぅぇえ…」
「わっ、ど、どうしたの?寂しいの?」
蘭がおろおろとAを抱きしめながら心配してくれる。Aは弱々しく蘭の背中に手を回して泣き始める。勿論、演技で。
自分の聞いたことで泣き出したので責任を感じたのか、新一は少し慌てていた。
子供の姿なら、どんなに賢い探偵の卵だって騙せるから便利だ。そう小さくクスリと笑った。
「……?」
.
「ひっぐ、…ひっ。う、…ごめ、ん…っね、」
暫くしたところで泣き止んだ。今は責任を感じた新一の家に向かっているところだ。
ひょっとしたら ベルモットのライバルとか、
「ううん!それより、もう大丈夫?」
「うん…だいじょう、ぶ」
心配そうに顔を覗き込んでくる蘭に頷く。
「よかった…新一が変なこと聞くからだよ!」
「わ、悪かったって言ってるだろ…」新一はバツが悪そうにそっぽを向く。
「シンイチのせいじゃないよっ!私が、泣いただけだから、」
今度は無理やり笑顔を作るようにする。まぁ、それに小学生くらいの子供が気付くかは分からないが。
「…ついたぞ」
待ってました、と言わんばかりに胸が高鳴る。工藤邸ーー初めて見るが、さすがの迫力だ。まず普通の小さい子供なら、大きな家を見て驚くはずだ。Aはしゃっくりが止まるほどに驚いてぽかんとその家を見上げた(演技をした)。
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ルチア(プロフ) - 更新頑張って下さい。 (2017年7月25日 6時) (レス) id: 0f75b247de (このIDを非表示/違反報告)
ルチア(プロフ) - ヤバイです。面白すぎます。何この夢主、カッコよすぎか! (2017年7月25日 6時) (レス) id: 0f75b247de (このIDを非表示/違反報告)
名無し仮面JC号(プロフ) - 倉木 勝さん» 混乱させてしまい、申し訳ないです;;一応、詳細は後に分かるようにしますが、主人公ちゃんの過去でも生い立ちでもありません。なんというか、過去を作る、といった不思議なもので…少しファンタジーチックになってしまいますが…簡単に言えばそんな感じです! (2017年5月14日 0時) (レス) id: 79886209dd (このIDを非表示/違反報告)
倉木 勝(プロフ) - 今更なんですが、この子供の姿の話は現在ではなく過去の話ですか?主人公ちゃんの今までの生い立ちですか?少し混乱してしまって、理解力がなくてすみません(;_;) (2017年5月13日 23時) (レス) id: bb3d364658 (このIDを非表示/違反報告)
名無し仮面JC号(プロフ) - 倉木 勝さん» ありがとうございます…!頑張ります!! (2017年4月14日 22時) (レス) id: 260010bfd8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ありす | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Milky0773/
作成日時:2017年4月8日 23時