第60話 ページ13
審神者部屋に私がシャープペンシルを走らせる音のみが響く。
「……………」
「………………主殿、そこ、間違っておりますよ」
「あ、ありがとうございます…………」
「いえ」
そしてまた沈黙が続く。
……………空気おっっっっも。
ちなみに筆ペンで一発描きは怖すぎたのでシャーペンで下書きしてます…現に今間違えたし……………
書き進めててわかったことがある。
この本丸には、私でも名前を知っているような刀剣男士さんがいないということ。
乱藤四郎さんとか、小夜左文字さんとか。
そしてその大体は……短刀。
なぜかは分からないけれど、何故ですかと聞く勇気もない。
………いない男士さんの中に粟田口派の方も沢山いたから。
多分、さっき一期一振さんが顔を顰めたのはそういうことなんだと思う。
結局その後は必要最低限の会話しかせず、日がすっかり暮れた頃刀帳が完成したのを確認した彼は部屋へと戻って行った。
………私ももう、今日はお風呂入って寝ようかな。
そう思ってそそくさと隠れるように浴場へ向かい、審神者入浴中の札を提げて五分ほどで全て済まして出てきた。
お風呂入るって言ったけど入浴はしてない。だってその間に誰か来たら怖いもん!!!
部屋に戻って長ったるい髪を乾かす。
文句を言ってはいるけど今のところ切る予定はあんまりない。この髪型、意外と気に入ってるからね。
「あれ、ヘアゴム置いてきた…???」
お風呂の時に使ってたヘアゴムを忘れてきてしまったらしい。
全然腕に着けてるつもりでいた。いや実際着いてないけど。
………浴場戻る?
ちらっと覗いて、誰かいたらダッシュで逃げればいい、と、思いたい……………
でもこの時間に浴場使うのはお手入れ終わった男士の方ばかりだから大丈夫なはず。
そう思って、審神者部屋を出て浴場へ向かう。
案の定浴場には誰もいなくて、ヘアゴムも簡単に見つかった。
廊下に出て、ふぅ、と安堵のため息をついた。
さぁ、帰ろう。
「なぁ、何してはるんです?」
………え。
背後から声が聞こえて、振り返ろうとするけれど首にあてがわれた刀がそれを許さない。
な、んで。いつから後ろに。
震えと驚きで声も出せない私をよそに、彼は話を進める。
「そういえば、新しい審神者が来たとか言ってましたなぁ。………まだ生きとったんか」
静かな怒りの籠った声で、私にそう言った。
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らび(プロフ) - やよさん» ありがとうございます〜!!近日中に更新予定なので待っててください〜!!! (2022年1月12日 18時) (レス) id: ca517f1ee4 (このIDを非表示/違反報告)
やよ - 更新待ってます!!!!めちゃめちゃ面白いです!!!! (2022年1月8日 19時) (レス) id: f3622d769a (このIDを非表示/違反報告)
花梨(プロフ) - 雪見大福さん» ありがとうございます!自分のペースでのんびり頑張ります! (2021年7月15日 15時) (レス) id: ca517f1ee4 (このIDを非表示/違反報告)
雪見大福(プロフ) - これからも無理せず頑張ってください! (2021年7月11日 19時) (レス) id: 4031fb98ab (このIDを非表示/違反報告)
花梨(プロフ) - Ayu_3さん» ありがとうございます………可愛いと思っていただけてるならとても嬉しいです………!! (2021年2月7日 23時) (レス) id: ca517f1ee4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らび | 作者ホームページ:
作成日時:2020年12月25日 23時