総統閣下10周年記念【gr】狼が爪を切る話 ページ6
鋭い爪は肉を裂くため
尖った牙は獲物を仕留めるため
大きな耳はどんな微細な音でも気づくため
あぁ、なんて格好良い。
あぁ、なんて、愛おしい。
私の、ご主人様。
☽︎︎.*·̩
数ヶ月前、グルッペンと名乗る旅人が来て、村に滞在することになった。
偶然にも滞在に選ばれたのは私の家で、私の父は猟師で、母は既に亡くなっていたため母の部屋を貸し出し、何かあれば猟師の父が撃ち殺す手筈だった。
そう。【何かあれば】
グルッペンは人狼だった。
村の人を食べるために人狼の住む森から出てきたのだ。
しかし有事の際、父は撃ち殺すことは出来なかった。
人狼を？
いいや、�犹笋鬮瓩�
グルッペンが初めに狙ったのは、滞在先のか弱そうな一人娘だった。
猟師を初めに殺すと村の内情が人狼に筒抜けということが分かってしまう。そうすれば、グルッペンが人狼と周囲に直ぐにバレてしまうと考えたため、親は殺せなかった。
腹を空かせたグルッペンは寝ている私に跨り、首を絞めて殺そうとした。
私は、グルッペンが部屋に入ってきた時点で目を覚ましていた。
｢……起きていたのか｣
｢こんばんは、グルッペンさん｣
｢驚いたな。今から首を絞め殺されそうだと言うのに｣
暗闇の中、グルッペンの瞳がギラギラと光っている。
私は震えた。
ぽろぽろと涙がこぼれ落ちる。
｢……怖いか、死ぬのが｣
ふるふると首を横に振る。
｢嬉しい、うれしい。こんなに、こんなにも幸せなことってあってもいいのかな。この村で、グルッペンさんに殺されるの、私がさいしょ。しあわせ、うれしいの｣
ぽろぽろ、ぽろぽろ。
涙は顔を伝ってシーツに染み込む。
歪む視界で、必死に光る瞳を捉える。
あぁ、なんて綺麗なんだろう。
｢ふ、は、ははは！ははははは！！｣
涙に濡れた目を見開く。
突然大声をあげて笑いだしたグルッペンは可笑しくて堪らないとでも言うように顔を抑えて笑う。
首にかけられた手が離れていってしまった。
その事に少し悲しくなる。
｢ど、どうして？グルッペンさん、わた、私、美味しくなさそう？｣
ぽろぽろと、今度は悲しさからくる涙が止まらない。
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まつりか(プロフ) - めっちゃ好きです…獣人zmさんの話と昇降口のshaさんの話が特に好きです!!言葉選びのセンスと知識に圧倒されるみたいな気分で読んでました…無理のない範囲で更新があることを心待ちにしてます! (2021年9月19日 17時) (
レス) id: cead0b39db (このIDを非表示/違反報告)
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