〃 ページ14
｢…ごめん｣
私から顔を隠すように伏せたゾムさんはぎゅうぎゅうと締め付ける力を弱くする代わりに私の服を握りしめる。
｢おれ、毒あるから……ちゅーもできひんし、Aは人間やからおれとスるのも難しいし……でも、生態には勝たれへんくて……Aに、負担かけんのはいやや……｣
｢……｣
｢なぁ、ごめん、お願い。もうちょいこうさして……絶対、絶対手ぇ出さんから…｣
｢…ゾムさん｣
｢……ごめん｣
声をかければ直ぐに締め付けが緩められる。
離れていこうとする下半身を私のできる限りの力で強く押さえつけた。
｢だめです｣
｢え｣
｢だめです、離れちゃ｣
｢ちょ、｣
押さえつけても獣人の力には勝てないことは分かっている。それでも言わなければいけないことがある。
ゾムさんの言い分なんか知るもんか。
｢私、ゾムさんの番です｣
｢……おん｣
｢私、そんなにやわじゃないです｣
｢……ん｣
｢私、ゾムさんのこと好きで、好きで、大好きです｣
｢……｣
｢私ね、ゾムさん。私、ゾムさんが獣人でも人間でも、種族が違ってもいいんです。ゾムさんがいいんです。ゾムさんじゃないとだめなんです｣
｢……｣
｢ゾムさんが1人で我慢する必要はないんです。毒があるなら解毒すればいい。ゾムさんの毒にだったら侵されてもいい。知ってますか？人間って好きな人のためならなんだって出来るんです｣
｢……｣
返事は無い。ただ、ぎゅう、と締め付けが元に戻る…ううん、最初よりも強い。
これを返事だと捉えてもいいんだろう。
｢……好き｣
｢はい｣
｢好き、大好き、愛しとる。A以外もういらん。同族のメスも、他の獣人のメスも、人間のメスもいらん。おれも、俺も、Aやないとあかん｣
今度は項じゃなく肩元に頭を擦り付けられる。
その頭をそっと撫でてやれば、巻きついていた腕が離れて手首を掴まれる。
｢……なぁ、こーび、したい……Aと、したい｣
ゾムさんの髪が頬を掠める。
れろ、と二股に別れた舌先で耳を舐られる。
ぺし、としっぽが床を1度叩いた。
｢…いいですよ｣
告げた瞬間、ぐっ、と体重をかけられ、しっぽで下半身を持ち上げられ、ソファの上に乗せられる。そのまま体全体て押し倒されて重なり合うようにそのままキスをした。
｢……俺の毒に溺れてくれる？｣
｢………もうとっくに中毒ですよ｣
さよなら、私の青い春【zm】(zm先生･悲恋)→←俺の毒に溺れて【zm】(蛇獣人･NGワードのせいで少し改変、1部読みづらいかもしれません)
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まつりか(プロフ) - めっちゃ好きです…獣人zmさんの話と昇降口のshaさんの話が特に好きです!!言葉選びのセンスと知識に圧倒されるみたいな気分で読んでました…無理のない範囲で更新があることを心待ちにしてます! (2021年9月19日 17時) (
レス) id: cead0b39db (このIDを非表示/違反報告)
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