鷹の俊足戦士を追いかけて

Let's go東京 ページ12

和子さんの宣言通り、東京ドームに来てしまった。
和子さんいわく、


和子 「知り合いの職員の人に話は通したよ、休憩時間に行くからロッカーで待っててって」


和子さんの人脈…恐るべし
緊張と期待と不安がぐるぐるしてて、変な汗が出てくる。


？ 「A…ほんとにAなん？」


不意に名前を呼ばれて顔をあげると、目に涙を浮かべた男の人が立っていた。


　 『坂本勇人さんですか？周東Aです』


坂本 「Aなんやろ？そんな他人行儀な呼び方せんで、昔みたいに『勇人にぃ』って
　 呼んでくれや」


その言葉で確信した、私が兄のことを勇人にぃと呼んでいたのは家族しか知らない。


　 『ほんとの、ほんとに勇人にぃなの？』


坂本 「そりゃあ、約20年ぶりだもんな…信じられへんか笑」


　 『ううん、信じるよ、だって昔の優しい勇人にぃと変わってないもん』


坂本 「ありがとう、Aは大人っぽくなったな」


　 『もう、社会人なんだから当たり前でしょ〜』


それから、兄にこれまでの事を全て話した。時折、驚いた顔をすることはあったけど、静かに私の話を聞いてくれていた。


坂本 「そんで今は福岡に一人暮らししとるのか…」


　 『うん、佑京が色々助けてくれるから』


坂本 「まさか、佑京とAが兄弟になってたなんて…」


　 『私は勇人にぃの妹だけど佑京も私にとっては兄かな…
　 そういえば、お母さんは元気？』


坂本 「…亡くなったよ、10年以上前に」


　 『嘘…もう一度だけでいいから、お母さんに会いたかった』


坂本 「母さんも言っとったよ、もう一度Aに会いたかったって…でも、こうして、俺と
　 Aが会えたんやから、母さんも天国から、みとるよ」


　 『そうだよね…きっと』


坂本 「A、福岡にいつ戻るん？」


　 『明後日だったと思う』


坂本 「じゃあ、ちょうどええな、明日は俺も休みやから、どっか行こ」


悲しい報告もあったけど、兄に再会できて嬉しかった。


和子さんに説明すると、


和子 「せっかくの兄妹の再会なんだから！出かけておいで〜、私はこっちの友達と遊んでるから」


坂本 「和子さんのおかげやわ、Aは標準語やったのによく気づいたな〜」


和子 「女の勘はあたるのよ！」


本当に和子さんには頭があがりません。




　

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