許婚として (ページ26)

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６４話ページ26

「あの、柊さん」

「どうかしましたか？」

「お昼は食べないの？」

「すいません、節約のためにお昼は抜いておりまして」

「え」

「作っていたただいたのなら満腹ではない方にあげてください」

「一条家ではそうだったの？」

「一条家というよりは柊家の決まりです」

「そう、なら夜は満腹になるまで食べましょうね」

「はい、お気遣いありがとうございます」

ニッコリ笑顔で答え、掃除を続けた

「柊さん、奥方様のお部屋の掃除をお願いしてもいいかしら？」

「構いませんがわたくしでいいのですか？」

「私達よりも柊さんの方が綺麗にできるからね、奥方様のためにも綺麗な部屋でいてほしいの」

「承知しました」

私は掃除道具を持ち、奥方様の部屋へ向かった

「失礼いたします」

そう言って部屋に入り、掃除を開始

いつも以上に気合を入れた

「ふぅ」

３０分もすると埃ひとつない綺麗な空間へ変わった

「失礼します」

奥方様の寝具はお嬢様とは違う

お嬢様は洋風で布団を使っている

それに比べて奥方様は和風で地面に寝転び掛け布団となる着物で寝ている

本当は奥方様こそ布団をつかうべきである

でも奥方様は平民を思う方なのであろう

平民と同じ寝方ですごしている

私ですら布団で寝ていたのに

「奥方様、凄いな....」

本当に

尊敬しきれない

全国民の母のような大きな器をお持ちであろう

「よし！」

私はより一層奥方様のお役に立てるように頑張った