捜索53日目 ページ6
「え、これ?」
「あぁ」
「分かった」
成瀬が持ってきた服は踝あたりの長さのスカートだった
「あ、可愛い」
鏡で見た服は凄く可愛かった
「これ買おっかな?」
個人的に凄く欲しかった
「如月」
「わっ!」
カーテンを捲られ、成瀬がハッキリ見えた
「どうしたの?」
「遅いから、何一人で迷ってんだ?」
「可愛いからさ、買おっかな?って」
「分かった」
「え?」
「分かったから早く脱げよ」
「う、ん」
私はよく分からなかったけどスカートを脱ぎ、元の服に着替えた
「これでいいんだな?」
「え?」
私が試着していたスカートを成瀬が持つ
「これ欲しいんだろ?」
「うん」
「よし、俺が買うよ」
「え、悪いよ!」
「いいから、外で待ってな」
「うん....」
私は店の外で成瀬を待った
「(申し訳ないけど、嬉しいな)」
プレゼントとかあまりされたことないから
「あれ?新島くん?」
「あ、如月じゃん....」
同窓会で会った新島くんとは雰囲気が違ってみえた
「大丈夫?何か体調悪そうだけど」
「実はさ、俺の奥さん人殺したんだ」
「え....」
「俺がもっとしっかりしてたら早苗は....」
「それは違うと思うよ」
「え」
「新島くんがしっかりしてても人を殺してしまうことはあるの」
「そうだけど....」
「今新島くんが奥さんに出来ることは出所できるまで待ってあげること、それだけじゃない?」
「そうだな、ありがとう」
「うん、絶望するよりも何かできることを探すのが一番だと思うよ」
お兄ちゃんが行方不明になった時、そう思ったから
「ありがとう、如月」
「ううん、同級生が困ってるし助けるのは当たり前」
「昔からそうだったな、悪い奴らを正しい道に戻してたり」
「両親の教えかもね、兄も警察官になったし」
「如月はならなかったんだな」
「私は警察官になれるほどの器は持ってないからね」
「そうか」
「頑張って、何かあったらいつでも相談に乗るから」
「あぁ」
新島くんは目に光を取り戻していた
もう大丈夫そう
「如月」
「あ、成瀬」
「さっきの男、誰?」
「同級生、ちょっと前の同窓会で久しぶりに会ったの」
「そうだったのか、これ」
「あ、ありがとう」
スカートの入った袋を渡された
「大切に着るね」
笑って成瀬に言った
「あぁ」
私は勇気を出して、自ら手を握ってみた
「ははっ」
笑って手を握り返してくれた
「行くか」
「うん!」
歩き出した
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作者名:伊東と田中 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Miku0417Mi1/
作成日時:2019年10月8日 18時