優しくしないで ページ5
ガチャ
『A遅いよー』
「ごめんごめん」
『てかドリンク持ってくるんじゃなかったの?』
「あ、忘れてた…」
『もーう、おっちょこちょいなんだから』
元太にハグされて凝り固まっていた何かが解けていく感覚。
突然現れた吐き気と動揺で、
言い訳のことなんてすっかり頭の中から消え失せていた。
"例の件"が関わると私は本調子じゃいられなくなる。
踊るメンバー。乱れる髪、滴る汗。
揃いに揃ったタップ音は、耳に心地いい。
なのに、視界は歪んで、重なって見える。
『俺、Aの歌で踊るの好き。』
『絶対デビューしような』
蘇る声が脳内を駆け巡る。
嫌、いや、イヤ、___________
『A…!大丈夫か?』
私は一瞬気を失っていたらしい。
いつの間にか閑也に体を支えられていた。
「…ごめんっ、大丈夫だよ」
閑也の手を解き、強がるが、正直もう限界だ。
ぎゅっと足に力を入れていないと立っていられない。
『ほんとに?顔色悪いよ』
『ちょっと休もう。Aいつも忙しいから。』
心配そうな皆の声。
うまく息ができない。
また迷惑かけるの?私___
「…お、お願い。優しく、しないでっ…」
とめどなく溢れる涙と、速くなる呼吸。
ぐわんと傾く視界のまま、私は冷たい床に打ち付けられた。
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mico(プロフ) - みりぽんさん» コメントありがとうございます!めちゃくちゃ嬉しいです、、心無い低評価に傷心していたので暖かいコメントいただけて救われました。これからも応援お願いします…! (2020年8月30日 10時) (レス) id: 81cd81d5d9 (このIDを非表示/違反報告)
みりぽん - すごく面白いです!私のなかではとっくに10越えてます!!!お願いします!!更新再開してください!とっても続きが楽しみです!(*´∇`) (2020年8月30日 3時) (レス) id: 5ba7fc14d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mico | 作成日時:2020年8月29日 16時