逃避行ブルー

七五三掛side1 ページ11

＜七五三掛side>




雑誌撮影の途中、小休憩を挟むことになった。





テーブルに置かれたお菓子や飲み物を各自自由に飲み食いしながら駄弁る。





そんな間も、Aは担当者さんと打ち合わせをしている。





病みあがりのAはなんだかいつもより小さく見えた。






ブブッ




肘をついていた机の表面が微かに震える。





隣には、光るAのスマホ。





＿通知くらい見てもいっか





魔が差したんだ。





掴みきれないAのプライベートを少しだけでも知りたくて、
スマホに表示された通知をちらりと確認した。





目黒蓮おはよう、雪。 ラウールから聞いた。俺はずっと待ってるから。





なにこれ、＿＿＿＿





信じられないその文言は頭を鈍器で殴られたような衝撃をもたらす。





雪。月野雪。





Snow Man伝説の紅一点。





可憐な佇まいと、掴みきれないキャラクター。





謎多き美女は、男女ともに莫大な人気を誇り、Snow Manを背負っていく存在と期待されていた。





＿＿けれど、月野雪は居なくなった。





デビュー直前、雪ちゃん以外のメンバーが号泣しながら開いた会見は今でも忘れられない。





"雪がいないSnow Manなんて…"





そんな皮肉が飛び交うSNS。





それでもSnow Manは
そんな声に負けじと努力を惜しまず、
今や1stシングル単独ミリオンを果たすようなグループへと大きく成長した。





Snow Man新規ファンは月野雪の存在を知らない。





そう、雪ちゃんの存在はなかったことになっている。





なのに＿＿＿＿

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