逃避行ブルー

ちくり、と ページ2

今日は単独のリハ。





マネージャーの仕事は、カメラを回し、全体的な見え方をメンバーと共有すること。





鏡張りになっているスタジオとは言えど、自分の動きに必死になっていると、
周りが見えなくなってくるものだ。





「ここでしめちゃんがうみと重なっちゃうから少し下手側に出てみて。
そうしたら全体的なフォーメーションも綺麗に見えると思う。」





『わかった。ありがとう。』





『ほんとAの指示って的確だよね。こんなにデキるマネージャーいないよ。』





『ダンスのこといっぱい勉強してくれたんだね、ありがとう。』





如恵留に頭を撫でられじわりと広がるあったかい何かと、ちくりと痛い罪悪感。





トラジャは感謝をたくさん伝えてくれるし、たくさん褒めてくれるグループ。





"ありがとう"。"すごいね。"





言われる度に嬉しいけど、なんだか少し哀しくなるのは何故＿





「あ、皆体調は大丈夫？私、ちょっとドリンクの追加持ってくるね。」





言い訳を取り付けて、逃げ出したスタジオ。




私にはあまりに暖かすぎたみたいだ。

生ぬるい→←松倉side

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す