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神子柴君と神子柴晶と皇慧海 ページ23

神子柴晶(みこしばあきら)はその滑稽な姿に終始笑みが隠せなかった。

10年、彼は「人に頼らない」という事を成し遂げた。

もう十分だ。

今の神子柴龍巳の姿は滑稽で哀れで、とても儚く、

今にも死んでしまいそうだった。


「10年、10年だ、私はあの子をあんな地獄へ突き落としてしまった。」

「…其れさ、反省してるの?」


皇慧海(すめらぎえみ)は呆れ返ったように物を言う。

晶は神子柴…実の弟の姿を見てクスクス笑った。


「エミたんは人が良いから、私はホラ、屑じゃん?」


慧海は何も言わない。

晶は続ける。


「実の弟貶めて其れを高みの見物、っはは、たーのしい。」


乾いた笑いが溢れる。


「死んだほうが良いよ。」


心の底からそう思った、慧海は口に出した事を後悔しない。


「エミたん良い人だもんね、ほんと…緋夜ちゃんの従兄弟で良かった。」

「其れは…」

「龍巳、龍巳の従兄弟もしくは兄弟じゃなくて良かったって。」

「…」


晶は嘘を吐いた。

本当は神子柴に幸せになって欲しかった。

幸せになれば、きっと、

もっともっと笑えただろう。

…でも、晶は自分だけ苦労して弟が苦労しない普通の人間になるのが許せなかった。

晶の言う苦労は常人より遥かに醜い。

実の弟を其れの半分でも良いから負わせたかった。

負わせて、見たかった。


「エミたん、エミたんはこんな事しないでね?」

「緋夜に?…冗談なら許す、本気だったら許さないぞテメェ。」

「ははは、過保護だね、妹としか思ってないくせに。」


その言葉は慧海には届かなかった。


「たーつみ、」


本人に聞かれることのない言葉、


「せいぜい頑張りな、クソガキ。」


慧海は哀れみの目を神子柴に向けた。

神子柴君と重い話→←神子柴君と赤目酸素



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龍巳@キチガイ - 睡眠酸素さん» じゃあ次のキャラデザ要求いつかしますんで!待っててね!!それまでにお仕事見つけてね!!!!!! (2017年1月10日 21時) (レス) id: 3d3a9ea8a1 (このIDを非表示/違反報告)
睡眠酸素 - oh…イメージ通り過ぎて逆に怖いっていうかすげぇええええ!!!素敵ウワアアアアめっちゃ楽しみってか次の小説も出たい! (2017年1月9日 22時) (レス) id: 397257de9d (このIDを非表示/違反報告)
龍巳@キチガイ - 【 】nanashiさん» は?何言ってんすか名無しさん文才まじください (2016年12月18日 19時) (レス) id: 7edea2d573 (このIDを非表示/違反報告)
【 】nanashi(プロフ) - 龍巳@キチガイさん» やばい、自分がこの中にいる!津原から聞いてるけどまさかこれ程とは、文才ください。 (2016年12月16日 16時) (レス) id: 1572cb3dd0 (このIDを非表示/違反報告)
龍巳@キチガイ - みるくらいす(紅茶10%)さん» 絵描いてー (2016年12月15日 20時) (レス) id: 7edea2d573 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:龍巳@キチガイ | 作者ホームページ:ホームページの追加は禁じます。  
作成日時:2016年11月18日 19時

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