満月の夜の集会所【2j3j】 (ページ6)

今日:2 hit、昨日:11 hit、合計:16,509 hit

† Meeting ページ6

…24時

カザキはソワソワと落ち着かない様子だった。
ヴァンパイア集会は24時からと例年の決まりなのだ。…時間ピッタリに来る人間…いや、ヴァンパイアは居ないのだが。
基本的に遅れて2人はやってくる。
Aの部屋には予め料理を運び込んでおいた。
出てきてはダメだと念も押したので大丈夫なはずだ。

…24時8分

ガサガサと森を歩いてくる足音が聞こえる。
どうやら1人目が到着したようだ。
以前「ヴァンパイアなのだから羽で飛んできたら良いのに」と気遣いから言ったのだが、「そんな事をしたら目立つでしょう？殺されたいんですか？」とやけに冷たい目で返されてからは彼に気遣いなどしなくなった。

…コンコン。

カ「どうぞ、かたなさん。」

剣「…刀也です。お邪魔します。」

名前に剣と刀が入っている上に、腰に剣をたずさえてやって来たのは剣持刀也。
いつも思うが、物騒である。

剣「今年もまた随分と料理したんですね。参加者は3人しか居ないというのに…」

カ「もう、そんな事言わないでよ。ちゃんと全部食べるから！」

剣「はいはい、そんなことを言って去年も残ったじゃないですか。…あれ？カザちゃん、ぬいぐるみ趣味なんてありましたっけ？」

カ「ぇ？私は無いけど…なんで？」

剣「…いえ。なんでも。」

何故そんなことを聞くのだろうか？
ぬいぐるみ趣味があるのはAだ。
剣持の見ていた方向を見ると、そこにいるはずの無い物と目が合った。
…Aが名前をつけて可愛がっているウサギのぬいぐるみ。みるくちゃん、だ。
おかしい、Aはあのぬいぐるみが無いと寝ることが出来ないのだ。なぜ食堂の椅子に座っているのか…？

…まずい。Aが気づいたら探しに来てしまうかもしれない。もしそうなったら1番遭遇して欲しくない剣持刀也と邂逅してしまう。それは何としても避けなくてはいけない。

何事も無かったかのように席に座る剣持を尻目に、ぬいぐるみをひったくって部屋へ向かう。

剣「あ、ちょっと。そんなに慌てて隠そうとしなくても…あ。」

…そうだ、このぬいぐるみはリュックサックにもなるのだ。紐が椅子に引っかかり転んでしまった。
腰が抜けてしまってモゾモゾと立ち上がろうともがくカザキに剣持が手を伸ばした

剣「慌ただしいですね…なんでそんなに急いでいるんです？」

カ「いやぁ…ほら！ザレンさんが来るまでに隠そうと思って…ね！」

剣「ね！じゃなく…て…」

カ「…？かたなさん？」